読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

人間にとって法とは何か

人間にとって法とは何か あとがき

「明治の昔から、法律は、法学部に閉じ込められてきた。ごく少数の専門家の手に握られてきた。ふつうの人びとには馴染みにくいものだった。 このことが、日本の社会を、どれほどゆがめてきたことだろう。 法律は、人間と人間の在るべき関係を規定するもの。…

人間にとって法とは何か

「歴史認識はどこまで共有できるか 次は歴史問題。 歴史問題は、くり返し蒸し返されていますが、東アジアの国々、中国や韓国や日本の団結を阻害している、大変に重要な問題です。 サンフランシスコ平和条約には、日本と中華民国が入っていました。それから日…

人間にとって法とは何か

「3 日本をとりまく国際法の問題 日本国憲法と国際法の乖離 さてこのように法律を考えて行くと、日本は、とても難しい国際的な立場に立たされていると言えると思うのですが、その問題を、憲法問題、歴史問題、国際化の問題と三つに分けて論じたいと思います…

人間にとって法とは何か

「第12章 国際社会と法 1 国際社会(international community)とは何か 国際紛争は誰が調停するのか これまで国家の内部、ある法のシステムのもとでの問題について話してきました。これとともに、もうひとつ、法律と国家や社会の問題を考えるときに大事…

人間にとって法とは何か

「3 公共性とは何か 家族・公衆・ルール さて次に、公共性について、ここできちんとまとめておきましょう。 国家イコール「公」というふうに明治以来考えて来て、いまでも心のどこかになんとなく「お上(おかみ)」の意識があって、官僚が偉くて、その下に…

人間にとって法とは何か

「所有と税と法律と 身体の次は、財産の自由があります。 身体の自由に関しては、どこかに制限を設けるにせよ、大多数の論者が一致しているのですが、財産については、リバタリアニズムの論者のなかでもいろいろに立場が分かれています。(略) 通常の学説か…

人間にとって法とは何か

「2 自由の根拠_身体と財産 自分の身体はどこまで自由か リバタリアニズムは、人間の自由を、国家よりも大事にするという考え方です。そして、その自由を守るために、最低限の法律がなくてはならない。という順番で考えて行く。 自由の根拠を考えてみると…

人間にとって法とは何か

「どこまで民営化できるか リバタリアニズムの国家観に立ちますと、国家は最小限のことをやるのが正しい、ということになります。 十九世紀に、夜警国家という考え方がありました。それと似ているかもしれない。軍事や外交など、国がまとまって一元的にやら…

人間にとって法とは何か

「第11章 民主主義とリバタリアニズム 1リバタリアニウムとは何か 反権力としてのリバタリアニズム 次はリバタリアニズムの話をしましょう。 リバタリアニズムというのは新しい考え方で、ここ十年か二十年のうちに、アメリカを中心に出て来たものです。新…

人間にとって法とは何か

「統治権を放棄する日本政府 戦後民主主義について考えてみましょう。 本来、民主主義は法の支配によるものなのですが、法の支配によっていないのではないかと思われる徴候が、いくつもあります。 そのそも憲法の原則が、まるで機能していない。古典的な三権…

人間にとって法とは何か

「3 法をめぐる日本人の誤解 「官/民」とは何か 明治の国家指導者は、このようになかなかの見識を持っていましたが、政府のもとにいた人民が正しいb法律感覚を持ったかというと、必ずしもそうは言えなかった。それは、政府のせいでもある。 明治政府は、日…

人間にとって法とは何か

「天皇機関説論争 専制君主制と立憲君主制とはまったく違うアイディアなので、どっちが日本の正しいシステムなのだろう、と日本人の間で混乱が起きた。それが論争になったのが、第6章でも触れた天皇機関説論争です。 機関説派は、天皇は憲法のもとでのひと…

人間にとって法とは何か

「第10章 明治国家と法 1 幕藩法と近代法 中央集権化と天皇の権限 もう一度、明治維新に話を戻します。 明治維新は、大変にドラスティックな改革であったと思います。 明治維新の前と後を比べてみるとわかるのですが、明治維新までは、中央政権などないに…

人間にとって法とは何か

「全員一致と「空気」の支配 日本の場合、こういうふうにはなっていません。日本でいちばん基本的なのは、村の慣行です。それがどういうものかというと、まず、全員参加ですべてを決めます。全員参加し、全員が合意して、何かが決まるわけです。 これはたい…

人間にとって法とは何か

「2 一揆と村八分 惣村と農民の団結 でも、ふつうの人はあまりこういう法律の変遷を意識しない。どうして意識しないかというと、日本人の大部分は、村に暮らしていたわけですが、村では律令法も武家法も関係がなくて、「村の掟」だけが現実的に重要だった。…

人間にとって法とは何か

「法的根拠から見た明治維新 そして明治時代になるわけですが、まず、なぜ明治維新によって江戸幕府を倒すことができたのだろうか。その理屈は、こんな感じです。 日本はもともと、天皇が支配する国である。しかし、律令に定めのない将軍という存在が、政治…

人間にとって法とは何か

「鎌倉幕府と関東御成敗式目 武士にとっていちばん大事なのは、本領安堵といって、自分の支配地が自分のものであることを、正式に認めてもらうことです。これが武士のいちばん切実な願いです。 自分が土地を所有するに至った経緯が複雑かつ曖昧なので、古い…

人間にとって法とは何か

「空洞化する律令制 律令制は、中国から律令システムという官僚的な国家統治機構を取り入れたもので、これがはじめて日本に取り入れられた法体系ということになります。中国のシステムは律と令という、ふたつの法体系で出来上がっている。 律は刑法のことで…

人間にとって法とは何か

「第Ⅲ部 日本人と法 ― 法感覚を鍛えるために ここからは、われわれの社会にとってもっとも身近な日本の法律について、日本人と法律のあり方についておもに話します。比較的独立している内容なので、ここまでの議論はおいておいて、ここだけで完結したものと…

人間にとって法とは何か

「連帯責任と宗教における個人主義 これを少し、ユダヤ教や仏教と比較してみましょう。ユダヤ教、そしてキリスト教は、たいへん個人主義的なのですが、その根本は、ユダヤ法が連帯責任の考え方をとらなかったという点にあります。 古代法としては、非常に珍…

人間にとって法とは何か

「第8章 儒教と法 1徳治主義と法治主義 法ではなく徳による支配を 次は儒教についてです。 儒教というのは、孔子、孟子の教えで、中国の大思想ですが、最初におさえておくべき事は、儒教のグループ(儒家)は法家と論争していて、これを論敵としていたとい…

人間にとって法とは何か

「浄土真宗の革命性 さらに注目すべきなのは、浄土真宗の考え方です。 親鸞という人が現れ、僧侶でありながら、はじめて結婚しました。彼自身は「非僧非俗」と言っていますが、自分は出家者か。いや、出家者(僧侶)ではない。在家者か。いや、在家者(俗人…

人間にとって法とは何か

「3 日本仏教と法 戒律を学ばなかった日本仏教 日本にも仏教が入ってきますが、日本仏教のひとつの特徴は、戒律がきちんと入ってこなかった点です。 中国に入って来た戒律すら日本には入って来なかったので、戒律が何かということがよくわからず、戒律を研…

人間にとって法とは何か

「禅宗について もうひとつ、中国では、新しい宗派である禅宗ができました。これは中国独特のものです。禅宗は、大乗の出家者も使っていた小乗の戒律を止めてしまいました。どうして釈尊の制定した戒律を止めて、それでもまだ仏教であることができるのかとい…

人間にとって法とは何か

「2 中国仏教と法 中国仏教の特徴 仏教は、中国を経由して、日本に伝わりました。日本の仏教は、中国のフィルターがかかっています。 仏教は、中国に伝わって、どのように変化したか。 簡単に言うなら、仏教は中国で、国営仏教になりました。 どういうこと…

人間にとって法とは何か

「サンガにはなぜ法律が及ばないのか 仏教はこの世界が、究極の法則(ダルマ)に支配されていると考えます。 ダルマというのは、原因と結果を結ぶ因果律です。こういう原因があるので、こういう結果がある。それを客観的に認識してとり出す。それが心理なの…

人間にとって法とは何か

「第7章 仏教と法 1 サンガのルール サンガと戒 仏教は、インドに生まれた宗教ですが、出家という考え方をとっていることが、根本的です。 ここから、仏教独特のルール観、法律観が出てきます。 出家が可能であるためには、社会のルールと、出家した人々と…

人間にとって法とは何か

「3 イスラム主義・保守派と改革派 イスラム原理主義とは誤解の産物である 次に、イスラム主義の保守派と改革派について簡単にお話しします。 イスラム原理主義と言う言葉が、最近ニュースによく出てきます。イスラム原理主義とは何か、とよく聞かれます。…

人間にとって法とは何か

「2 イスラム法共同体 法学者と政治的支配者 法律を共有するムスリムの共同体を、ウンマといいます。こうしたイスラム法共同体をつくることで、地上の平和を実現します。 ウンマはシャリーア(神の法、イスラム法)を共有して、同じ信仰、同じ礼拝、同じNGO…

人間にとって法とは何か

〇 第6章はイスラム教とイスラム法となっています。 関心がないわけではないのですが、とりあえず、私たちの身近なものではないので、大幅に省略してメモします。 「第6章 イスラム教とイスラム法 ユダヤ教とイスラム教 イスラム教は、ユダヤ教にそっくり…