読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日記

ふしぎなキリスト教  12 自然科学の誕生

「O すでに述べたことですが、このように、キリスト教の影響というのは、まったくキリスト教的ではないかたちで、あるいはキリスト教そのものを否定するような形で発現することがよくあります。 資本主義の精神はその一例ですが、もっと端的な例は自然科学…

ふしぎなキリスト教  10 予定説と資本主義の奇妙なつながり

「O (略)カルヴァン派というのは、プロテスタントのあり方の最も徹底したヴァージョンです。宗教改革はルターに始まった。ルターはまさに勇気ある一歩を踏み出したわけですが、後から登場したカルヴァンから見ると、少し不徹底なところがあった気がします…

ふしぎなキリスト教  9 宗教改革_プロテスタントの登場

「O まず素朴な質問として、プロテスタントとカトリックはどこが一番違うんですか、と聞かれたら、どう言うふうに答えるのが正解になりますか? H 宗教改革の主題をひとことで言うなら、神からのものと人間のものを分けること。それによって、神と人間との関…

ふしぎなキリスト教  8 なぜ神の存在を証明しようとしたか

「O おそらく中世の神学者・哲学者はイスラムから逆輸入する形でアリストテレスを再発見した時、アリストテレスの哲学の緻密さに驚いたことでしょう。で、それと同じような水準で教義の研究をするようになって行って、哲学がどんどん発達してくるわけですけ…

ふしぎなキリスト教  7 ギリシア哲学とキリスト教神学の融合

「O 僕らは今、キリスト教の影響について考えています。しかし、それを考えるには、第一部の最期に議論したように、意識レベルでの信仰だけを見ていてはダメなんですよね。(略) 私はまったく宗教に関心がないよ、教会には行かないよ、と言っていても、無意…

ふしぎなキリスト教  6 イスラム教の方がリードしていた

「O すでに何度も話題になっていますが、イスラム教は、一神教の伝統の中では、最後に出てきたものです。(略) 非常に大づかみな印象ですが、僕には、キリスト教よりイスラム教の方が明快だし、首尾一貫性が高いように見えます。(略) 聖典に関しても、新…

ふしぎなキリスト教  5 聖なる言語と布教の関係

「O ローマ教会は典礼言語をラテン語に限りました。(略) ところで、聖なる言語と布教について考えてみると、対照的な二つの戦略があるように思います。(略) 整理すると、一方の極に現地語をどんどん使って布教をしていった東方正教があり、他方の極には…

ふしぎなキリスト教  4 世俗の権力と宗教的権威の二元化

「O この対談の主題、つまり近現代を規定した主要な因子としての西洋という主題との関係では、西側のキリスト教(カトリック)の方が関心の中心になります。今日振り返ってみると、それだけ、西側のキリスト教が定着した地域の文化の歴史的な影響力が圧倒的…

ふしぎなキリスト教  3 ローマ・カトリックと東方正教

「O さて、ここまで「キリスト教」と一括して呼んできましたが、ほんとうは大きく二つの流れがあることを押さえておかなければなりません。 日本人がキリスト教についてイメージするときに、どちらかというと中心にあるのは、カトリックですね。 これは、ロ…

ふしぎなキリスト教  2 教義は公会議で決まる

「H 一神教の特徴は、「人間のもの」と「神のもの」を厳格に区別する。そして、「人間のもの」に権威を認めないことです。ところが、どうしてもある「解釈」(人間のもの)を下さないと教会が集団としてまとまらなくなる。ではどうする? 聖書の編纂はすんで…

ふしぎなキリスト教  第3部 いかに「西洋」をつくったか  1 聖霊とは何か

「O キリスト教は成立後、いろんな形で社会に浸透し、人々に影響を与えながら、言ってみれば「西洋」を作って行きました。しばしばいわれる「グローバリゼーション」も含めて、近代化というのは、見方によっては地球的・人類的な規模の西洋化みたいなところ…

ふしぎなキリスト教  19 初期の教会

「O 高校で世界史を勉強していれば、ローマのコンスタンティヌス帝が313年にキリスト教を公認し(ミラノ勅令)、392年にテオドシウス帝が国教化したことは知っているわけですけど、それはどういう経緯だったんですか? はじめ、ローマ帝国はキリスト教…

ふしぎなキリスト教  18 キリスト教をつくった男・パウロ

「O さて、もう何度か言及されているけれど、まだ十分に主題になっていないのはパウロですね。実は、ぼくらはすでに、パウロが言ったこと、パウロの作った教義を前提にしながら、キリスト教について論じています。 考えてみると、キリスト教をキリスト教にし…

ふしぎなキリスト教  17 不可解なたとえ話3 マリアとマルタ・カインとアベル

「O まだまだあるんですが、よろしいですか?(略) H どうぞどうぞ。 Oそれは「マリアとマルタ」の話です(ルカ10章)。(略) そうしたらイエスは、マルタに「お前はどうでもいいことばっかり気にしている」「大事な事は一つだけだ、マリアはいい方をと…

ふしぎなキリスト教  16 不可解なたとえ話2 ブドウ園の労働者・放蕩息子・九十九匹と一匹

「O 次に紹介する「ブドウ園の労働者」というたとえ話はもっと有名です。(略) H これは有名なエピソードですね。夕方雇い入れた人は一時間ぐらいしか働いていない。賃金を払う段になって、「後から雇った者から払ってやりなさい」と主人が言った。夕方雇い…

ふしぎなキリスト教  15 不可解なたとえ話 1 不正な管理人

「O 橋爪さんは福音書を読んでいて、首をかしげることはないですか?イエスの発言に関して、いくらなんでもこれはおかしいだろうと思う事が僕は時々あります。 H そういうことを、どんどん挙げてみましょう。 O じゃあ、最も不可解なものからいきますね。(…

ふしぎなキリスト教  14 ユダの裏切り

「O もし人類の歴史の中で最も影響力の大きかった出来事を一つ挙げろと言われたら、僕は、イエスの処刑だと思うんです。たった一人の人間の死が、結果的には人類史に圧倒的な足跡を残し、いまでも大きな影響を及ぼしている。(略) だから他の使徒もあまりか…

ふしぎなキリスト教  13 イエスは自分が復活することを知っていたか

「O いったい、どちらなのでしょう?イエスは復活を知らずに殺されたのか、知っていてとりあえず殺されたのか。 H たしかにここは、キリスト教理解の急所のひとつです。 マトリョーシカの話を思い出して下さい。その一番内側には、歴史的実在としてのイエス…

ふしぎなキリスト教  12 贖罪の論理

「O でも、ふつうに考えてみると、なぜキリストが死んだら人間の罪が贖われたことになるか、実はよくわからないのです。 H このことは聖書に、はっきり書いてありません。なぜ書いてないのか?当たり前すぎると思って、書いてないのかもしれない。よくわから…

ふしぎなキリスト教  11 愛と律法の関係

「O 橋爪さんが今話されたように、律法のゲームから愛のゲームへの転換が、新約と共に実現するわけです。 この愛のことを、「隣人愛」という。「隣人」と聞くと、身近で親しい人のことだと思うかもしれませんが、そうではない。 罪深い人とかダメな人とかよ…

ふしぎなキリスト教  10 歴史に介入する神

「O 神が天地創造をして、そのあと、最後の審判の時まで出て来ないのであれば、わかります。ところが、キリスト教の場合には、神そのものが歴史の中に入ってきて、被造物のように振舞っている。 イスラム教の場合は、そういう不可解なことが出来るだけ起きな…

ふしぎなキリスト教  9 キリスト教の終末論

「O 「神の国」とはいったいどういうものなんですか?(略)というわけで彼らから見ると、どうやら神の国が近づいているらしいのだけど、それが何だかわからない。 そして、どこにあるのかもわからない。わからないから質問すると、「神の国はどこかにあるも…

ふしぎなキリスト教  8 イエスの活動はユダヤ教の革新だった

「O 聖書に、イエスは「権威ある者のように教えたので人々が驚いた」とありますね(マルコ1章22節)。この「権威ある者のように」というのは、イエスが神のように語った、という意味だと思うのですが、いかがでしょうか?(略) H いや、「権威ある者」と…

ふしぎなキリスト教  7 「神の子」というアイデアはどこから来たか

「O まず、「神の子」は何でないか、ということから、逆に、神の子の本質に迫りたい。例えば、日本人が一番陥りがちな勘ちがいとして、「イエス・キリストはキリスト教の教祖です」というような解釈はあり得ると思うんです。(略) H イエスは、旧約聖書を「…

ふしぎなキリスト教  6 イエスは何の罪で処刑されたか

「O こうしてイエスは処刑されたわけですが、当時の政治状況は少々複雑で、いま紹介したように、ユダヤ人にどのくらい「主権」があったのか定かではない所があります。(略) 宗教的・寓話的な解釈はさておき、歴史的事実として、いったいこの人はなぜ処刑…

ふしぎなキリスト教  5 「人の子」の意味

「H 福音書をよく読むと、イエスを「神の子」だと明言していないんです。ヨハネ福音書は明言しているが、これは後から書かれたので、ちょっと違う。マルコ、マタイ、ルカの三つの福音書(共観福音書)は、イエスを「人の子」と言っていて、これはメシアのこ…

ふしぎなキリスト教  4 イエスは神なのか、人なのか

「O アマテラスやスサノオがイザナギの子であるのと同じように、イエス・キリストはヤハウェの子なのか。しかし、そうすると、二人の神がいることになってしまって、一神教の大原則に反することになります。(略) H マトリューシカという人形があるでしょ…

ふしぎなキリスト教  3 奇蹟の真相

「O おそらく一番多いのは、病気治しの奇蹟。これに関しては、すべて文字通りに受け取れるかどうかは別にして、かなりの 部分で実際に相当することがあったんじゃないかと思います。 イエスにはやっぱり、ある種のカリスマ的な力があったでしょうから、現に…

ふしぎなキリスト教  2 なぜ福音書が複数あるのか

「O しかし、厳密に言えば少しずつ違うんですね。とくにヨハネの福音書は、他の三つとの相違がかなり大きい。(略) これらの福音書がどのような順番で、どのくらいの時期に書かれたかは、厳密な考証によってわかっています。最も古いのがマルコで、マタイと…

ふしぎなキリスト教  16 意識レベルの信仰と態度レベルの信仰

「O 学生と宗教や宗教社会学について話している時、彼らがつまずいていると思う箇所は、非常に素朴なところなんですけど、キリスト教とかユダヤ教を「信じている」という心の状態がなかなか思い描きにくいようです。(略) つなり、近代的な世界観を基本のと…