読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

白井聡

国体論 ー菊と星条旗—

「3 明治の終焉 ▼「坂の上の雲」の先の光景 立憲政体としての体裁をとにもかくにも整えた大日本帝国は、日清・日露戦争の勝利によって本格的な帝国主義国家の地位を獲得するに至る。一九一一年には、幕末以来の悲願であった不平等条約の改正も完了する。(…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 明治憲法の二面性 ― 天皇は神聖皇帝か、立憲君主か (略) 明治憲法の最大の問題は、それが孕んだ二面性であった。すなわち、この憲法による天皇の位置づけは、絶対的権力を握る神聖皇帝的なものであったのか、立憲君主制的なそれであったのか、という問…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 憲法制定権力としての自由民権運動 かくして、物理的暴力によって新政府に対抗する途を閉ざされた抵抗勢力は、言論闘争を軸とした闘争(自由民権運動)へと転換を余儀なくされる。(略) 言論闘争の場が公式に与えられることが予定されているにもかかわ…

国体論 ー菊と星条旗—

「第三章 近代国家の建設と国体の誕生 1 明治維新と国体の形成 ▼ 若き北一輝の嘆き 本章では、「戦前の国体」が形成された時期、すなわち「戦前レジーム」の確立過程にスポットをあてる。具体的には、明治維新(一八六八年)に始まり、大日本帝国憲法の制定…

国体論 ー菊と星条旗—

「(略) ▼ 「理想の時代」「虚構の時代」「不可能性の時代」 右に述べてきた歴史の三段階における各時代の簡潔な特徴づけは、次のように可能である。 先に言及した大澤真幸は、見田宗介が一九九〇年に提示した戦後の時代区分(「理想の時代:一九四五~六〇…

国体論 ー菊と星条旗—

「 3 戦前国体の三段階 ▼ 「戦前の国体」の三つの段階 国体の歴史的軌道を追跡するにあたって示唆を与える議論を展開しているのが、社会学者・大澤真幸の「戦後の思想空間」(一九九八年)である。同書で大澤は、戦前と戦後の並行性を考察しているが、その…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 世界で最もアメリカに有利な地位協定 その最も見やすい例を挙げるならば、日米安保条約に付随する取り決めである日米地位協定の著しい不平等性である。(略) 伊勢崎賢治と布施祐仁は、日米地位協定と、さまざまな国とアメリカの地位協定を比較検討して…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ アジアにおける一番目の子分という地位の喪失 他方、政治においては、九〇年代に盛んに喧伝された「アジアへの着地」は頓挫し、対米従属の必然性が消え去った時代において対米従属が昂進するという逆説的事態が進行して来た。 その間、アジア諸国の国力…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ アメリカを頂点とする「戦後の国体」 しかし、この状態は奇妙ではあっても、日本国民に果実をもたらした。それゆえに、戦後という時代は、「平和と繁栄」という形容を永らく与えられてきたのである。そしていま、そのことのアイロニカルな帰結を、われわ…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 祈りによって「国民の統合」を作り出す かくして、「動く」ことに基いた「祈り」が天皇を「象徴」たらしめる。それでは、その時、天皇は何を「象徴」するのか。 今回強調され、想起せしめられた―そして、憲法上の想定でもある―のは、天皇は「日本国の象…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼戦後民主主義の危機=象徴天皇制の危機 そうしたなかで発せられた今上天皇の「お言葉」の内容として目を引いたのは、「天皇の務め」、とりわけ「象徴としての役割を果たす」ことに対する繰り返しの言及であった。(略) 「お言葉」によって明らかにされた…

国体論 ー菊と星条旗—

「(略) 「▼「お言葉」の文脈—天皇の「闘争」 では、今上天皇にかような切迫した危機感をもたらした文脈は何であったのであろうか。 狭くは、憲法改正へと突き進む安倍政権に対する牽制を指摘できよう。「今上天皇が生前退位(攘位)する意思を固めたらしい…

国体論 ー菊と星条旗—

〇 白井聡著 「国体論 ー菊と星条旗— 」を読んでいます。 まだ読み始めたばかりなので、先ずは読み終えることを目標に読んでいきます。白井氏は「主権者のいない国」という本も書いていて、いつかそれも読んでみたいと思っているのですが、読めるかどうかと…