藍楸瑛にそんな過去があったなんて…。
というか、この物語、登場人物がどの人も強烈に個性的で、
誰もが主人公として描かれている部分がいい。
モテモテで女には手が早い楸瑛の想い人は、
平凡な目鼻立ちの、特別美人ではないけれど、だれより特別な人。
お兄さんの奥さん。
「そして彼女は相変わらず、ただ1人の誰かを想っていた。
……楸瑛はそれが嬉しかった。」
―自分にチラともなびかない事に安堵し、少しだけ悔しく思う。
決して楸瑛の手に落ちない高嶺の花は義姉のよう。
決して叶わない想いを胸に秘めつづける様は、自分のよう。
どうか少しでいいから振り向いてほしい、いいや、誰にもなびかないでほしい。
……でも、この後宮で出会った「白百合を思わせる息を呑むほど麗しい顔の美女」
って、義姉ではないわけで。ただこの一瞬だけの人なんですよね~
みなそれぞれに個性的に描かれているのに、みなすごく似てる。
この年になっても、少女小説♪
ほんのつかの間、好きな世界に入り込める楽しさ。
そして、今回もやっぱり思う。
十三姫。かわいいネーミングだなぁ。