一粒で二度おいしい…
シリアスの面とコメディーの面、
一人の人の二つの顔を並列で見せられてるような楽しいお話でした。
しかも、悲劇とハッピーエンド、両方の結末を味わうことが出来ました♪
「疑ってるその最中でも、余が何を疑っているのか、途中でこんぐらがって
よくわからなくなるのだ。裏切っているのだろうかと考えても、余にはそちが
何をどう裏切っているのか、サッパリわからなかった。」
最後まで何をどう裏切ってるのかわからなかった悠舜。
結局、「心底イイ人になりたかった」というのが悠舜の見たい世界だったのか~
とはぐらかされた様な、でもホッとしたような結末でした。
戩華 「お前と俺と、どこが違うか、本当に違うのか、見たくなった。
生きて示してみろ」
戩華が何故旺季を殺さなかったのか、やっと納得です。
今回読み直して、私は本当にこの本を読んだことがあったのか、
と何度も思いましたが、
でも、確かにあの隻眼の老人と劉輝のエピソードは、記憶にありました。
そして、唯一涙が流れた場所も、ここでした。
細切れに読んでいると、一つ一つの言葉をしっかり味わうことが出来て、
それはそれで良いのですが、この最終巻を読んだ時のように、
その世界に没頭して読むと、感動が違うような気がします。
「偉いお役人が何を吹聴しようが、妖星が出ようが、関係ない。
自然には自然の掟があるだけだ。俺たちはただ日々を生きてて、
こんな日が続けばいいと思えば何も言わない。いいか、何もいわない。
それが俺らの言葉だ。俺たちは自然の声なき声に従って生きる。
王様は俺らの声なき声を聞くのが仕事だろうが、周りが偉くかしましいと、
…きっとかすんでるんだろうな」
この本には、私の中の声なき声、意識せずに思っていることが
様々な場所にちりばめられていました。多分これからも何度も読み返すだろうな、
と思います。