読み終わりました。
魅力的な本だなぁと思いました。
そして、この二巻で完結なのかと思ったのですが、これはまだまだ続きますね。
嬉しいです。
涙が出た箇所。
「よくやったわね。ミア。最低の現実でも、こんなことがあるから
やってけるわ。じゃ、一緒に帰りましょう」
「何がどうだっていうの? 戦時協定を堂々と破って
十二歳の子供を水牢に放り込んで手柄をこさえるより、逃がして連座のほうが
どんだけましなの。人助けして護送馬車行きなんて、笑うしかないわ。
こんな毎日しかあげられないのに、あなたは私に、人を殺すより助けることを
思い出させてくれる。 ― ミア。どうか忘れないで。覚えていて。
いつか片っぽだけの耳飾をつけた王朝皇子が私を殺しに来ても全然構わない。
あなたが今日その子を助けたことを思いだして、嬉しくて笑いだすわ。
きっと死ぬ時もよ」
… 略 …
いまだ夜が明けぬ暗い世界の、奈落のような坂をくだりおりた。
また、別の箇所で…
アリルの言葉 「嘘は言えません。…… 僕には期限があります。
どうしても……そこから先には、行けない。でも…僕は…
残りの時間で、思い出がほしいわけじゃない」
あの彩雲国物語が色鮮やかな薔薇や百合のように、豪華で完璧な花の
美しさを見せてくれた物語だとしたら、
このレアリアは、雑草のような野の花の美しさを見せてくれる
物語のように感じました。
彩雲国物語の登場人物が、誰もが神さまのように出来過ぎだ、と書いたことが
ありましたが、このミレディアはその正反対のように見えるヒロインです。
そして、この物語の文章も、ちょっととっつきにくく感じる、
とつとつとした感じ。
ミレディアも、最初は分かりにくく思えたのですが、とても魅力的です。
二つのまるで違う雰囲気の物語を読ませてくれるこの雪乃紗衣さん、
すごいなぁと感心します。
正確な文章は忘れたのですが、
ミレディアが助けた王朝の皇子アイゼンがミレディアの胸を触って、
「質量共に、姉上のものとはまるで違う。そんなにしょぼくれていないで、
もっとやる気を出せ」
というシーン。所々にあるこの笑いが良いし、
我輩とか、小蝙蝠とか、ほのぼのとしたキャラクターがまた魅力的です。