ちょっといいな、と思う言葉は随所にあって、
「そのとき、古くなってすりきれたナホバの毛布をみせてくれた。
奥さんといっしょに、昔、イェローストーン公園でインディアンから
買ったんだって。それを買ったのがどんなにうれしかったか、それがこっちにも
わかるんだな。こういうとこだよ、僕の言うのは。
いいかい、スペンサー先生みたいなすごい年寄りでもだぜ、
毛布を買ってすごく喜んでるんだからな。」
「いまでも覚えているけど、僕はチャイルズに、
ユダは自殺をした後で、地獄へ行ったと思うかって訊いたんだ。
イエスを裏切ったりなんかしたあのユダさ。…略…
しかし、何でも賭けるけど、イエスは絶対にそんなことはしない。」
「…子供はほったらかしで歩いて行くんだ。その子供がすてきだったんだよ。
歩道の上じゃなくて、車道を歩いてるんだ。縁石のすぐそばのとこだけどね。
子供はよくやるけど、その子もまっすぐに直線の上でも歩いて行くような
歩き方をしてんだな。そして歩きながら、ところどころにハミングを入れて
歌を歌ってるんだ。…略…歌ってるのはあの「ライ麦畑でつかまえて」っていう、
あの歌なんだ。…」
最初、読み始めた時は、いい回しに神経が行ってしまって、
なかなか入り込めなかったのですが、いつの間にか少しずつ
引き込まれて行く…という感じになってきました。
繊細な感じ。デリケートな感じ。
まさに踏み外すか外さないか、ギリギリの線の上を歩いているような内容で、
確かに車道の縁石のそばを歩いている子供のような
危なっかしい、でもちょっと野生動物のようなエネルギーが
あるなぁと思いました。
でも、これは娘に勧められなかったら、読まなかったと思います。
私はあまり繊細な方じゃなく、この良さがわかるような
知能もない、とあらためて自覚させられたような気がします。
今日は、サリーに愛してると言ったところまで読みました。