抜書きをメモします。
「さて私は思うのですが、世の中の人々の多くは人生とか
世界とかいうのは、多少の例外はあるものの、基本的にシュビ一貫した
場所であると(あるいはそうあるべきだと)考えて生きているのでは
ないでしょうか。
略
「つまりそれは、あれがこうだから、そうなったんだ」となっとくして
しまうわけだけれど、でも私にはそれがもうひとつよくわからないのです。」
「あのヒトたちは世界というのは高級建売住宅の間取りみたいにシュビ一貫して
説明がつくと信じています。だからシュビ一貫したやり方でやっていけば、
すべては最後にはうまくいくとおもっているのです。
そして私がそうしないことに混乱したり、悲しんだり、腹を立てたりするのです。」
「まるでどこか遠くからのびてくるものすごく長い手のようなものによって、
自分がしっかりと支配されているみたいな気がするのよ。
そして私の人生というのはそのような物事を通過させるための、ただの
都合のいい通り道に過ぎなかったんじゃないのかって」
「彼は今「運命」というものの強い揺らぐことのない力を、
自分の身のうちにひしひしと感じていた。運命は獣医の宿業の病だった。
彼はmだ小さな子供のころから「自分という人間は結局のところ
何かの外部の力によって定められて生きているのだ」という、奇妙なほど
明確な思いを抱いていた。」
「しかしそれにもかかわらず、彼は生まれてこの方、自分が何かを
主体的に決断しているという実感をどうしても抱くことができなかった。
彼は自分が常に運命の都合どおりに「決断させられている」と感じていた。
略
それは巧みに「自由意志」のかたちにカモフラージュされていただけなのだ。
それは彼をおとなしく手なずけるための撒き餌のようなものに
すぎなかった。」