読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「不登校児」が教えてくれたもの

「真実、魂の底から父や母が「学校に行かなくてもいいよ、ゆっくり休みなさい」
と言うことができたとき、はじめて子供たちは癒されるのだ。この事実を
精神科医や親たちが洞察して対処できるケースは稀であろう。」


実際に経験したものとして、本当に魂の底から「学校に行かなくてもいい」

と思えるようになるのは、難しい。

でも、これも経験者として言えるのだけれど、実際に心からそう思えるように

なった時、不思議なほどしっかり息子は自分から動き始めた。

では、どうすれば心の底からそう思えるようになるか…

問題はここだと思う。

私の場合は、児童精神科医の崎尾瑛子さんの「ラジオ子ども教育相談」

(だったかな?)に助けられていた。

崎尾瑛子さんは、ことあるごとに、子どもの話を聞くことを推奨していた。

私は先ず、できる限り一緒に居ることを心がけた。

ただ黙って並んで座っていること。子どもが何でもいいから、話し始めたら、

それをしっかり聞くこと。こちらからのメッセージは、一度だけはちゃんと

出すけれど、一度以上は我慢する。言いたくても言うのをこらえる。

忍耐する。

例えば、学校を休み一日中テレビゲームをやってる息子を見ながら、

「テレビゲームばかりやるのは、良くないよ」と一度は言う。

でも、二度は言わない。言いたくて言いたくてたまらなくなるし、

心配になるし、怒りは込み上げてくる。

でも、言わない。堪える。そして待つ。息子の話を聞く。

それを繰り返し繰り返し頑張ると、息子も少しずつ自分の気持ちを話してくれる

ようになる。

そして、ここが不思議なのだけれど、息子が自分の気持ちを話してくれるのを

しっかり聞いていると、何故か、きっと大丈夫だ、という気持ちになってくる。

息子に対する信頼感が出てくる。現実には、テレビゲームしかしていないのに、

息子は頑張って生きてる、今も必死に生きてる、私はそれを支えてあげなきゃ、

と心から思えるようになる。

逆に言えば、この息子は小さな頃からあまり自分の気持ちを言わない子だった。

しかも、いつもちゃんとしていない子だったから、

なんとかちゃんとさせなきゃ、とガミガミ怒ってばかりいたような気がする。

気持ちをしっかり聞くと、不思議なほど息子に対する信頼感が生まれる。

「いつでも、気持ちを聞くよ」と子どもに言ってあげてください、と

崎尾瑛子さんはことあるごとに言っていたけれど、実際に、その言葉が、

私や息子を救ってくれたと、今も感謝しています。

「母親たちの声は、具体的に誰が、どのように、どんなものをつくろうかという
検討にまで発展していった。その場に居合わせた私は、これは危ない!と
一瞬思った。(略)多分母の会に自分が巻き込まれる危険を感じて、
一瞬逃げ腰になったのかもしれない。しかし私はやはり傍観者でいることは
できなかった。(略)三十人たらずの主婦たちは日常の家計の中から、
実に650万円という大金をしぼり出したのである。
この事実をリーダーの光田さんから報告されたとき、私の胸はふるえた。

そして肝もすわった。(略)現実に自分の目の前に彼女たちの願いの
結晶である650万円を突きつけられたとき、彼女たちの祈りの中に
我が身を投じることが、不登校児と同じ地平に立つという自分の信念に叶い、
私自身が救われる道だと思い知ったのである。
私も生まれて初めて大きな借金をした。登校拒否児たちの駆け込み寺建設の
資金は整った。」

私の息子は社会にうまく適応できないタイプの子どもでした。

そして、その気質はこの私から受け継いだものだと思われました。

なんとか頑張ろうと思ったとしても、回りの環境があまりにも厳しすぎると、

その頑張りは続かなくなると思います。

「駆け込み寺」のようなものがあれば、どんなにいいだろうと思いました。

この森下一さんは、その「祈り」をただの夢幻としてきれいに飾って

自分は別な世界で生きるのではなく、一緒に生きようとしてくれた、

そこが本当に感動的だと思うのです。