舞城王太郎著「山ん中の獅見朋成雄」を読んでます。
この本も、読み終わって好きだなぁと思った本で、その「好きだなぁ」の
記憶だけはしっかり残っているのですが、内容はほとんど忘れています(^^;。
なぜ好きだと思うのか… その理由を考えながら読んでいます。
「星の里の泉から汲んだ星の水は固くなくて滑らかで手にすくってこぼすと
モロリと丸まって手から離れるような軽い弾力があった。」
水がモロリと丸まる… 水が弾力がある… そんな話聞いたことがないって
思うのですが、なんとなくその雰囲気がわかるような、いい感じです。
「確かにモヒ寛には決まったスタイルはないし、スタイルがないという
スタイルでもないし、スタイルはあるようでないようであるように
見せかけてないかもしれないのだが、じゃあとりあえず何があるのかと
言うと、とにかく圧倒的に自由なモヒ寛だけが確かにある。
つまりスタイルを云々する前に、モヒ寛がビックリマーク付きで
モヒ寛!と書面から飛び出してきて見る者を圧倒してしまうので、
筆さばきにそれまで見たことがないものがあったり、
よく見るオーソドックスで手垢のついた、陳腐と紙一重のものが
あったり、それらが混ざって渾然一体となっていたりするのに、
それらをじっくり吟味することがなかなか許されないのだ。
なかなか大したもんだと思う。」
ううむ~~ このイメージがまさに舞城王太郎だなぁと思います。
この獅見朋成雄君は、14歳で、ナルちゃんと呼ばれています。
そんな少年が主人公だから、この雰囲気になってるのか、
小さな子供が、おとぎ話の足柄山の金太郎の物語を聞く時のような、
そんなワクワクした感じがあります。
でも、実際は大人が読んで面白い、結構濃厚な物語になってたような、
記憶があります。
本当に記憶力が悪くて全く覚えていないというのも、悲しくなりますが、
でも、もう一度楽しめるということで、嬉しい面もあります。