読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 上

「「デルフォイの神託の主神」アポロは(詩の神でもあると付け加えてもよかろうが)
「あらわに語ることも隠すこともせずに、ただ示すだけである」すなわち、曖昧に
何かを暗示するのであり、ほんの暗示にすぎないものを理解する人によってのみ
理解されるのである(神はウィンクする」とハイデガーは訳した。」


「人間どもにとって眼や耳は悪しき証人である。彼らが異邦人の魂を持っているなら。」つまり、彼らがロゴスをもっていないなら、ということである。
ロゴスは異邦人にとって言葉であるだけでなく、筋の通った議論をする能力であり、
それがあるかないかが、異邦人との違いなのである。」


「存在それ自体、存在そのものだけ、まさに存在するというそのこと、それを考えるようにと精神を高めたことがあるか。考えのたけを込めて「存在する」と言ったことがあるか。目の前の人に対してであろうが、花であろうが、一粒の砂であろうが、

その瞬間におかまいなしに― つまり、存在しているあれこれのあり方にはとらわれずに。

ここに到達したのならば、神秘の存在を感じ取っているのであり、それが汝の霊を
畏怖と驚異の内に根付かせているのだ。「何もない!」とか「何もないときがあった!」という言葉そのものが自己矛盾だ。我々の内部にはこういう命題をはねのけるようなものがあり、まるでそれ自体が永遠の権利をもって事実に対抗する証拠になっているかのごとき充溢した瞬間的な光を伴ったものである。


それゆえ、無いことは不可能であり、存在することは不可解である。絶対的存在についての、この直感を習得してしまえば、同じようにして次のことも習得したことになる。太古の昔に高貴な精神を、選ばれし人を、聖なる畏怖の心持でとらえたのは、
まさにこのことであり、これ以外のことではなかった、と。まさにこのことこそが、
かの人々をして、個としての存在よりもたとえようもなく大きなものを自らの内に
感じ取らせたのであった。」(コールリッジ)