読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

哲学的自伝


「個人の自由な活動を許すのが我慢ならない者は、自由と同時に想像力と大学の精神をも、破壊せずにはおかぬでしょう。」


「しかし1914年(私は31歳でした)、戦争の勃発とともに事情は一変しました。
歴史の地盤は激しく振動しました。長い間確実と思われていたいっさいは、一撃で崩壊せんばかりでした。(略)ひとつの状況として、つまりそこから出てくるもろもろの結果が、いつでも特殊なものであらざるをえない真正の認識可能性によりつつ、決定的にはわれわれ人間の自由によって左右されるところの状況として、捉えようと試みたのであります。」


「政治は自由においてのみ存在します。自由が否定されれば、許される限り、私生活が残ります。1919年の正月、私がマックス・ウェーバーに、もしコミュニスト
政権を握ったとすれば、何をしたらよいかと尋ねたとき、<そうなると、ことはもはや私の興味を惹きません>、というのが彼の答えでした。」


「私は戦争に同調できない個人たちと出会うのが、嬉しかったのです。(略)私は、このような熱狂状態に加わったひとびとをことごとく、内心軽蔑するのを抑えることはできませんでした。」


「現実政治への参加は私には許されなかったのですから、私はひたすら考え、書き、語ったのは当然でありました。(略)政治の倫理的諸前提、ならびにその現実的諸条件を私なりに明らかにする、そして第二に、すでに私の拠っていた世界市民という立場に合わせて自分の政治思想を整えるという課題は、私にとりまして哲学的たるを
失いませんでした。」

「世界のどこであろうと私が、人類に対し、すなわち人間の自由と人権に対し責任を覚えている政治的思惟の強力な息吹を聞き、同時にそこに、力、犠牲の勇気、掛け替えのないひとつの理念に対する努力を感じ取るようなことがあれば、私は耳をそば立て、そして希望をえたのであります。」


「決定的に重大なことは、事のなりゆきを全体として規定しているいかなる自然法則、いかなる歴史法則も存在しない、ということであります。未来がどうなるかは、人間たちの、せんじつめれば数十億の人間のうちのひとりひとりの、決意と行動の
責任であります。

事は個人個人の心次第で決まるのです。」