読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 下


「「太陽が天空に位し、天体が太陽の周りを回るようになって以来久しいが、人間の実在の中心が自らの頭、つまり思考にあるということは、まったく思いもよらぬことであった…。

これは、輝かしい日の出であった。思考するあらゆる存在は、この新時代を共に祝った…。精神の熱狂は、あたかも、神的なものと現世的なものとの宥和が今や初めて成就されたかのように、世界を震撼させたのであった」。」


「「この事件から指示されたのは、まさに新たなる人間の尊厳であった。つまり、「どうあるべきかという理念が普及していくにしたがって、いっさいのことを存在するがままに永遠に認めるような分別臭い人々の無感覚さは消え去るであろう」。」


ヘーゲルは、けっしてこの若い頃の経験を忘れはしなかった。1829-30年頃になっても、ヘーゲルは、自分の学生たちに次のように言ったのである。

「政治的な転換の時代に、哲学は自らの場を見出すのであり、それは、思想が現実に先行し現実を形づくる時なのである。(略)」」


フランス革命では、原理と思想が実現され現実化されたのであり、人が思考するときには時間を費やしている「神的なもの」と「現世的なもの」、人間界との宥和が生じたのである。」


フランス革命は、「真理が生きた形で…現実のなかでしめされ[うる]」ことを証明したのである。今や、世界史の連鎖のなかのどの瞬間も「そうあるはずだったもの」と実際に考えられるようになる。」

フランス革命が貴族による反乱として始まったことを確認しました。
貴族=裕福な市民=知識階級が「真理を生きた形にしよう」としたことで起こった革命。

真理や道理が政治に生かされず、少しずつ少しずつ骨抜きになっていく、私たちの国の民主主義や人権。

多くの血を流してその為に闘った人々の国と、そのシステムをただ棚から牡丹餅式に
受け取り、真似している国との違いを感じています。