読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 下

「(ベットーニ)「ドゥンス・スコトゥスは終生にわたって、彼の形而上学的実在観を構成していた思想や学説を表現する際に最大限にアリストテレスの方法を学びとったアウグスティヌス主義者であった」。」


「彼の思索の中心には、そして彼の敬虔さの中心においてももちろんそうなのだが、確固たる確信があって、それは、「我々の目的と現世的な永遠性に係わる」問題に触れながら、「どんなに学識があり再起煥発な人であっても自然理性だけではほとんど何も知ることができない」という確信であった。」



「というのも、「信仰なき人にとっては、正しい理性というものは肉体の面からも魂の面からもやがては死ぬ運命にあるということが明らかになるだけだから」というのである。」


「彼は自分のしていることの意味がよくわかっていた。彼は言う、「私は[他人の]言葉にできるだけ理屈の通った解釈を与えたいのである」。このような本質的に非論争的な方法によってのみ、論証に本質的に内在する弱さを示すことができるのである。」

〇ここを読み、私は、このアーレントも同じように考えて様々な思想家の言葉を解釈しているのかな、と感じました。


「人間の知性のこのようなっ有限性はアウグスティヌスの”時間的人間”と酷似している。」



「(略)絶対的に有限な存在が無限者を考えてそれを「神」とい名づけることはどのようにして説明されるのかという問題であった。」

「人間の精神の中で、それ自身の限界を超えることを可能にしているもの、絶対的有限性を超えることを可能にしているものは一体何なのか。そしてこの問いに対するスコトゥスの答えは、アクィナスの場合と違って、意志なのである。」



「根拠となる証を拒否して理性だけに頼ろうとする過激な懐疑は人間にとって不可能である。

人間は、皆が共通に持っている習得による信念という強固な基盤の上で共同生活をしている。

つねに当然のこととして受け入れられている無数の事実の試金石となっているのは、人間にとって意味があるのかどうかということである。」


〇これも「証明することが不可能なこと」のように見えます。でも人間という生命体がこれまで生きながらえてきた根底には確かにこれがあったに違いないと思えます。