読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 下

〇 16 自由の深淵と”時代の新秩序”

「この論述のまさに初めで、私は意志能力を批判的に吟味する際に避けがたい欠陥があることを警告した。それはかなり明らかなことであるが、個々の議論やそれへの反論を討議する際には、容易に見逃されてしまう。

つまり、意志についてのどの哲学も、活動する人々が構想し定式化したのではなく、哲学者たち、カントの言う「職業的に思索する人々[思索者]」がした、という単純なことである。」

「自由とは何か新しいことを開始する精神能力であるが、この新しいことは起こらないということも同じくありうるということを我々は知っているのである。」


「本当に、独我論的な自由の概念ほど恐るべきものはあり得ない。つまりそれは、私が一切の他者から孤立して切り離されて立っていることは自由意志に負うているという「感情」であり、私自身以外の何もまた誰もこのことに責任を負っていないという「感情」である。」


「しかし世界が過去にも現在にもあるべきようにはないということは誰にでも明白ではないか?過去にも現在にも、誰がこの「べき」についてどうであるべきだと知っているだろうか?

この「べき」はユートピア的である。それはこの世界の中にどんな固有のトポスすなわち場所も持っていない。必然性に対する信頼、一切が「そうあるべくあった」ようにあるという確信は、偶然性を認めることになる自由よりもずっと望ましいとはいえないのではないか?こうした状況の下では、自由は、「現存在が自分自身に引き渡されながら見放されている」ことを示す「焼けた場所」という婉曲な表現のようなものではないのではないか?」


〇ここからがアーレントの主張なのでしょう。
全部書き写したいような気持になります。
一つ一つの言葉に頷きながら読んでしまいます。