読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 下

「ただし、アメリカ独立宣言とアメリカ合衆国憲法の中には、来世についてのどのようなほのめかしもない。世俗的な領域を教会から、同時期に、解放していこう動きのなかでは、現実には生きのびられると思われないような信仰にしがみつこうとする絶望的な企てをする動機は、まったくプラグマティックでありきわめて実際的なものだった。」


「要するに、ここで、世俗の政権の側が、ユダヤキリスト教信仰を守るためではなく、犯罪者に対して中世の共同体を保護していくのに極めて有効だった規則という政治的な支配の道具を守ろうと短期間だけ努力したというのがわかる。

後からみると、それはほとんど、教養ある少数者が多数者を啓蒙への不安定な道をたどらせないように説得するためにつくられた狡猾な企みのようにも思える。」


「(略)[政治的]活動家たちは、まじめにまったく新しい始まりを準備し始めた時はいつでも、聖書の方に向かわないで(「初めに神は天と地を創造した」)、古代ローマの古文書を探索し回って「古代の憲知」を求め、共和国の樹立すなわち「人によるのではなく法の」(ハリトン)統治の手引きとしようとした。

彼らは、たんに政府の新しい形態についての知識のみではなく、同時に創設の技術、つまり、いかにしてあらゆる始まりに固有の難局を克服するかという技についての教訓を必要としていた。


彼らはもちろん自由な行為のとほうもない自発性に気付いていた。」


「我々の文脈において問題なのは、建国の観念、”建国から”時を計る観念がローマの歴史編集のまさに中心にあることであり、それはそれに劣らず強くあるローマ人の考え、すなわちすべてのそうした建国_それはもっぱら人間界で行われることであり、そこでは人々は物語を語り、記憶し、保存する_は、再ー設立であり再ー確立であって、絶対的な始まりではない、という観念と結びついている。」