読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「空気」の研究

「では一体この「空気」は、どのように醸成され、どのように作用し、作用が終わればどのようにして跡形もなく消えてしまうのであろう。それを探求する一つの手掛かりは、だれかが、何らかの意図のもとに、ある種の「空気」を意識的に醸成した場合である。」
 
 
「(略)それによると、自動車「魔女裁判」の目的は、「放漫無計画な政策によって、破産にひんした自治体が、その穴埋め財源に(自動車)に狙いをつけ」、(略)「国が地方税法の改正をしない場合、少なくとも大都市および大都市所在府県は、連帯し、これらの両税(自動車関連税)の税率につき、とりあえず三倍ないしそれ以上の引き上げをはかる」こと、そのためその際、それをノーといえない「空気」を人工的に醸成することであった。」
 
「しかし_読者はすでに気づかれたであろうが_日本の「魔女裁判」の対象は、実は、人でなく、自動車という物体であることが、その特徴である。
 
物体への裁判は西欧にもある。ただしそれは笑劇の材料乃至は何かに対してあてつけた茶番劇であっても、立派な学者・学識者が、大まじめに物体をさばき、その判決が公式に何かに結果したという例を私は知らない。
 
これはキリスト教伝統では考えられない珍事である。」
 
 
「こうなる「空気」とは、一つの宗教的絶対性をもち、われわれがそれに抵抗できない、”何か”だということになる。もちろん宗教的絶対性は、大いに活用もできるし悪用できる。これを利用して「免罪符」を売りつけて財政的破綻を救うこともできる。」