読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史 下

「ローマ人が許容するのを長い間拒んだ唯一の神は、一神教で福音を説くキリスト教徒の神だった。」


「キリストが十字架に架けられてから皇帝コンスタンティヌスキリスト教に改宗するまでの300年間に、多神教徒のローマ皇帝キリスト教徒の全般的な迫害を行ったのはわずか四回だった。(略)


これとは対照的に、その後の1500年間に、キリスト教徒は愛と思いやりを説くこの宗教のわずかに異なる解釈を守るために、同じキリスト教を何百万人も殺害した。」


「16世紀と17世紀にヨーロッパ中で猛威を振るったカトリック教徒とプロテスタント(新教徒)との宗教戦争は、とりわけ悪名高い。(略)
こうした神学上の言い争いは凄まじい暴力に発展し、16世紀には、カトリック教徒とプロテスタントが殺し合い、何十万という死者を出した。」

多神教はあちこちで他の一神教を生み続けたが、どれも瑣末なものにとどまった。(略)大躍進はキリスト教とともに起こった。」


キリスト教の成功は、7世紀にアラビア半島に出現した別の一神教、すなわちイスラム教のお手本となった。」

「今日、東アジア以外の人々は、何かしらの一神教を信奉しており、グローバルな政治秩序は、一神教の土台の上に築かれている。」

「神ユピテルがローマを守護し、ウィツィロポチトリアステカ帝国を守ったのと丁度同じように、キリスト教の王国はどれも、困難を克服したり戦争に勝ったりするのを助けてくれる独自の守護聖人を持っていた。」

「頭痛のときには聖アガティウスに祈らなけばならないが、歯痛のときには、聖アポロニアに祈った方がずっと効き目があった。」


キリスト教の聖人がそんな信仰の対象になっているというのは、知りませんでした。日本でも、勉強の神様とか安産の神様とか縁結びの神様とかありますけど、
似てると思います。


「(略)論理的には、それは不可能だ。人は単一の全能の絶対神を信じるか、ともに全能ではない二つの相反する力を信じるかのどちらかのはずだ。それでも、人類には矛盾しているものを信じる素晴らしい才能がある。

だから、膨大な数の敬虔なキリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒が、全能の絶対神と、それとは独立した悪魔の存在を同時に信じていたとしても、驚いてはならない。」


「平均的なキリスト教徒は、一神教絶対神を信じているが、二元論的な悪魔や、多神論的な聖人たち、アニミズム的な死者の霊も信じている。このように異なるばかりか矛盾さえする考え方を同時に公然と是認し、さまざまな起源の儀式や慣行を組み合わせることを、宗教学者たちは混合主義と呼んでいる。実は、混合主義こそが、唯一の偉大な世界的宗教なのかもしれない。」