読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史 下

〇 メモをしながら読むと結構時間がかかるので、メモなしで、
どんどん読んでいます。面白いです!

今、見出し「科学を気前よく援助する人々」というところを読み始めたのですが、
ちょっと感動しています。

というのも、このハラリ氏、まさにあの「アーレントの問題意識」と同じような問題意識を持っているようです。

つまり、アーレントが言っていた…

[しかし次のことを打ち消すことはまったくできない。すなわち近代科学の偉大な発見者_アインシュタインプランク、ボーア、ハイゼンベルクシュレディンガー_の考察が、「近代科学の基礎にかかわる危機」をもたらし、「そして彼らの中心的問(人間が世界を認識することができるためには世界はどのようでなければならないか?)は科学そのものと同様に古く、今も未回答のままである」ということを。」

と同じようなことを言ってるのです。以下にメモします。

「私たちは技術の時代に生きている。私たちのあらゆる問題の答えは科学とテクノロジーが握っていると確信している人も多い。科学者と技術者に任せておきさえすれば、彼らがこの地上に天国を生み出してくれるというのだ。

だが、科学は他の人間の活動を超えた優れた倫理的あるいは精神的次元で行われる営みではない。

私たちの文化の他のあらゆる部分と同様、科学も経済的、政治的、宗教的関心によって形作られている。

科学には非常にお金がかかる。人間の免疫系を理解しようとしている生物学者は、研究室、試験管、薬品、電子顕微鏡はもとより、研究室の助手や電気技術者、配管工、清掃係まで必要とする。


金融市場をモデル化しようとしている経済学者は、コンピューターを買い、巨大なデータベースを構築し、複雑なデータ処理プログラムを開発しなければならない。太古の狩猟採集民の行動を理解したい考古学者は、遠い土地へ出かけ、古代の遺跡を発掘し、化石化した骨や人工遺物の年代を推定しなくてはいけない。そのどれにもお金がかかる。

過去500年間、近代科学は政府や企業、財団、個人献金者が科学研究に莫大な金額を注ぎ込んでくれたおかげで、驚異的な生かを挙げてきた。その莫大なお金の方が、天体の配置を描き出し、地球の地図を作り、動物界の目録を作る上で、ガリレオ・ガリレイクリストファー・コロンブスチャールズ・ダーウィンよりも大きな貢献をした。

もしこれらの天才が生まれていなかったとしても、きっと誰か別の人が同じ偉業を達成していただろう。だが、適切な資金提供がなければ、どれだけ優れた知性を持っている人でも、それを埋め合わせることは出来なかったはずだ。(略)

何故莫大なお金が政府や企業の金庫から研究室や大学へと流れ始めたのか?学究の世界には、純粋科学を信奉する世間知らずの人が多くいる。彼らは、自分の想像力を掻き立てる研究プロジェクトなら何にでも政府や企業が利他主義に則ってお金を与えてくれると信じている。だが、これは科学への資金提供の実体からかけ離れている。


ほとんどの科学研究は、それがなんらかの政治的、あるいは宗教的目的を達成するのに役立つと誰かが考えているからこそ、資金を提供してもらえる。

たとえば16世紀には、王や銀行家は世界の地理的探検を支援するために、膨大な資源を投じたが、児童心理学の研究にはまったくお金を出さなかった。それは、王や銀行家が、新たな地理的知識の発見が、新たな土地を征服して貿易帝国を打ち立てるのを可能にすると思ったからであり、児童心理の理解には何の利益も見込めなかったからだ。」

〇まだまだ続きます。全部書き写したくなります。