読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史 下

「<汝自身を知れ>  歴史上、大半の宗教やイデオロギーは、善や美、正義については、客観的な尺度があると主張してきた。そして、凡人の感情や嗜好には信用を置いていなかった。


デルポイアポロン神殿の入り口では、「汝自身を知れ」という碑文が巡礼者たちを迎えた。これは暗に、普通の人は自分自身の真の姿を知らず、それゆえに真の幸福についてもおそらく無知であることを示唆していた。フロイトもきっと、この見解に賛同するだろう。

キリスト教神学者も同じ意見だと思われる。ほとんどの人は、どちらを選ぶかと問われれば、神に祈りを捧げるよりも、セックスをする方がいいと答えるだろうということを、聖パウロと聖アウグスティヌスは実によく承知していた。

それでは、セックスこそが幸せを手に入れるための鍵であると言えるだろうか?聖パウロと聖アウグスティヌスは、そうは考えなかった。これはたんに、人間は生まれながらにして罪深く、簡単に悪魔に誘惑されうることを証明しているにすぎない。 キリスト教の立場からすれば、大多数の人間は、程度の差こそあれ、ヘロイン中毒者と同じ状況にある。」



「以上のような立場から、宗教や哲学の多くは、幸福に対して自由主義とは全く異なる探求方法をとってきた。中でもとくに興味深いのが、仏教の立場だ。仏教はおそらく、人間の奉じる他のどんな信条と比べても、幸福の問題を重要視していると考えられる。

2500年にわたって、仏教は幸福の本質と根源について、体系的に研究してきた。科学界で仏教哲学とその瞑想の実践の双方に関心が高まっている理由もそこにある。」

〇科学界では、仏教に関心が高まっているとは知りませんでした。
ただ、以前、NHKの「心と脳の白熱教室」というのを見た時(記憶がハッキリしないのですが、確か、この中でだったと思いますが)、自分の気持ちを安定させるために、何も考えず何もせず、ただ静かにジッとしている時間を持つことが大事だ、という話をしていて、まるで禅だ、と思ったことがあります。