読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日本はなぜ敗れるのか _敗因21か条

「近づいてみると、恐怖すべきボロ船であり、一見してスクラップであった。それも道理、後で聞いたことだが、この船は船名が玉鉾丸、船齢すでに二十七年、最高速度五ノット半という、当然、廃船とすべき代物であった。(略)


甲板の舷側ぞいに、何やら四角く仕切られた木造の小屋、人の胸ぐらいの高さの小屋がずらりと並び、それが文字通り角材に板を釘付けした粗末なつくりで、しかもベトベトに汚れた感じであり、その下部に開口部があって、そこから汚水らしきものがたえず流れ出し、船腹をつたい、これを広く濡らして海面にまで流れている。(略)

「便所だ」二人はほぼ同時に気づいた。考えてみれば、こういう装置が必要なことは当然である。(略)

その船の船艙に三千人を押し込む、人を貨物と考えれば確かにそれだけのスペースはあり、従って物理的にはそれも不可能と言えぬかも知れない。しかし貨物には排泄はない。」


「これはまことに奇妙なことといわねばならない。というのは陸軍の軍人に、船舶の系統的な運航が指示できるはずがないからである。ましてその大部分を占める歩兵出身の将校などは、船舶の運航について、基本的な予備知識さえ持っているはずはない。

従って、輸送の際は輸送の専門家にまかせれば最も能率的なはずなのだが、至る所に軍人が入り込んで来て、ただのさばっているのが当時の実情であった。」


「S中尉はこの実情をよく知っており、知っているがゆえに前述の注意となったわけだが、これは当時、軍に接したすべての人が痛感した欠陥であることは、次に引用する小松氏の文章でも明らかである。

そして、その軍人たちは、威張ることと居眠りをすることと精神訓話で聴者のねむ気を誘発し、それらの結果、実務を妨害する以外に脳のない存在だった。(略)」



〇あの3・11の時、フクイチと東電の関係を見ながら感じたのは、まさにこれと同じ構図、そして雰囲気でした。日本がこんな酷いやり方の上に成り立っているとは、
心からショックでした。