読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日本はなぜ敗れるのか _敗因21か条

「象徴的にいえば、太平洋戦争自体が、親米英派を超えて、米英に「痰唾」をはきかけて快哉を叫んだという形であり、従って「暗雲一気にはれた」心理的状態がつづく間と、その後の反動的な志気低下とが、最前線の状態にもはっきりと現れてくるのである。」


慰安所の女を飛行機で運ぶ   ネグロスには航空荘といって、航空隊将校専用の慰安所(日本人女)兼料理屋があった。米軍が上陸する寸前、安全地帯へこの女達を飛行機で運んでしまった。

特攻隊の操縦士等、まだ大勢運びきれずにいるのに。戦闘第一主義は、いつの間にか変わってしまった。これがネグロス航空要塞の最後の姿だ。』


『女を山へ連れ込む参謀   兵団の渡辺参謀は妾か専属ガールかしらないが、山の陣地へ女(日本人)を連れ込み、その女のたくさんの荷物を兵隊に担がせ、不平を言う兵隊を殴り倒していた。兵団の最高幹部がこのようでは士気も乱れるのが当然だ。又この参謀に一言も文句の言えぬ閣下も閣下だ。』


「以上の記述を読むだけで、軍の首脳部自身が、もう戦争にあきあきして、全く「ヤル気」を失っていたことを示している。これは秦郁彦氏も指摘しており、氏は太平洋戦争を「プロは投げて、アマだけがハッスルしていた戦争」と定義しておられる。」



「そしてその次に来るものは、決定的な相互不信による、組織の実質的解体である。


ルソン島の話    我々はネグロスで、ルソンには山下兵団がいて相当に武器もあるだろうから、そうおめおめと負けんだろうと思っていた。ところがここへ来てルソンの話を聞くと、初めは大分やったようだが、あとは逃げただけだったことが分かった。

しかも山では食料がないので友軍同士が殺し合い、敵より味方の方が危ない位で部下に殺された連隊長、隊長などざらにあり、友軍の肉が盛んに食われたという。ここに至るまでに土民からの略奪、その他あらゆる犯罪が行われたことは土民の感情を見ても明らかだ。』

『ミンダナオ    ここは全比島の内で一番食べ物に困った所で友軍同士の撃ち合い、食い合いは常識的となっていた。行本君は友軍の手榴弾で足をやられ危うく食べられるところだったという。敵も友軍も皆自分の命を取りに来ると思っていたという。友軍の方が身近にいるだけに危険も多く始末に困ったという。』

『追いはぎ   糧秣のない部隊は解散して各自食を求めだした。そして彼等の内、力のない者は餓死し、強き者は山を下りて比人の畑を荒し、悪質の者は糧秣運搬の他の部隊の兵をおどしあげて追いはぎをやったり、射殺したり切り殺して食っていた。糧秣運搬中の兵の行方不明になった者は大体彼等の犠牲となった者だ。もはや友軍同志の友情とか助け合い信頼というようなことは零となり、友軍同志も警戒せねばならなくなった。』


そして、このようになった組織は、もう二度と、秩序を回復することはない。」


NHKスペシャル「戦慄の記録インパール」では、途中行き倒れて、死んでしまった仲間の肉を売り買いした、となっていました。

でも、ここでは、はっきり、「食べるために殺した」となっています。