読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日本はなぜ敗れるのか _敗因21か条

「こういう例は、私も現地で見ている。そしてその中には、はじめから何のために来たのかわからないような人もいた。落選代議士やら退職高級官僚やらが「陸軍司政官」などという肩書きで、何もせず、高給をもらってただブラブラしていた。(略)


そしてこの「空中楼閣しかないから、それを隠すため威信だけは問題にする」という態度が、敗戦の最も大きな原因の一つであった_これも「思想(的)に徹底したものがなかった事」の一つの表れだが_。(略)」



天皇が避難した人々に声をかける時、床に膝をついて声をかけておられたことを評して、「天皇の威信を考慮してもっと天皇らしい態度を取った方が良い」などという意見を読んだことがあります。

「威信」を守るために、そう演じなければならない、という圧力を感じて、そういう振舞になるという面もあるのでは?と思いました。



国家主義から国際主義へ    今度の戦争を体験して、人間の本性というものを見極めたような気がした。色々考えて進めてゆく内に国家主義ではどうしても日本人が救われないという結論を得た。

そして我々は国際主義的高度な文化・道徳を持った人間になってゆかねばならんと思った。これが大東亜戦争によって得た唯一の収穫だと思っている。
(昭和二十一年十一月二十五日、カランバンにて)』


「氏は、「再軍備論者」の考えを、その考えが出てくる十年も二十年も前にはっきりと否定し、また最近になってはじめて問題とされている食糧問題、水の問題、農業問題にも、目を向けている。(略)

日本の悲劇は常に、この常識的な言葉に人が耳を傾けるまで三十年もかかると言う事である。


『日本再建    多くの将校や兵隊達は、日本が機会を得て再武装し再び戦って再興すると考えているようだ。原子科学時代にこの研究を許されない国民が、鉄の兵器でいくら武装しても何もならない。もう鉄の戦争は終わっている。


原子科学の時代だ。原子科学のないところに国際的な真の発言権はないのだ。もっとも原子科学の為に人類は滅びてしまうかもしれないが。

日本は何といっても国が狭いうえに人口か過剰だ。これをどうやって養っていくか。農業するにも土地も肥料もない、重軽工業の原料もない。これ等を打開する原子科学は禁じられている。

日本の前途は暗たんたるものだ。ある人は芸術と道徳に生きよと言っている。しかし、食のないところへ芸術も道徳も発達するわけがない。人口の整理(移民・産制をも含む)か、食料の合成があるだけだ。徳川三百年は産児制限によって保たれたとさえいうが、これからの日本にはこの問題が一番大きく響いてくるだろう。

食物の合成は今のところ、確たる具体案がないので残念だ。』

終戦直後の人々の考えがとてもよくわかる文章だと思いました。
産児制限が奨励され、原子力がもてはやされ、今や飽食の経済大国になりました。
よくやった、ということなのでしょうし、

ある意味、あのハラリ氏の「サピエンス全史」にあった、資本主義の「パイの拡大」の流れに乗ったため、とも言えると思います。

小松氏がいう、「国際主義」によってもたらされたものだと思います。
もう、再軍備し、戦い、再興する必要はありません。

でも、ここにきて、原子力の為に危機に陥り、少子化で「前途が暗たんたるもの」に
なっています。皮肉です。

『日本人が米人に比べて優れている点   永いストッケード生活を通じ、日本人の欠点ばかり目に付きだした。総力戦で負けても米人より何か優れている点はないかと考えてみた。面、体格、皆だめだ。ただ、計算能力、手先の器用さは優れていて彼らの遠く及ばないところだ。他には勘が良いこともあるが、これだけで戦争に勝つのは無理だろう。(略)


ただ技術の一断面をみると日本が優れていると思う事があるが、総体的にみれば彼らの方が優れている。日本人は、ただ一部の優秀に酔って日本の技術は世界一だと思い上がっていただけなのだ。小利口者は大局を見誤るの例そのままだ。』