読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

中空構造日本の深層(※ 日本昔話の心理学的解明)

「(略)ヨーロッパの話では魔法と変身があります。

日本は、蛇と話をしたりするところは人間らしいのですけれども、どこかのところで蛇は蛇だとか、猿は猿だというペースに変わってしまう。ところが、ニューギニアとか、あるいはアフリカとかの話では、トナカイと人間が平気で結婚してみたり、離れてみたり、何か全く一緒の感じなのです。(略)

西洋のほうは今言いましたように違います。日本はちょうどその中間みたいな、非常に珍しいところにあるということを小沢さんは書いておられる。」



「まず異類であることを認識してと言うのが西洋のやり方で、そしてそれとの結合を図る。ほかの東洋の国では、どうせ自然に行われているのだから、トナカイと結婚しようが、何と結婚しようが、別にかまわないというところでは、まだ結婚の問題を象徴的に見る目がないのではないか。


日本は何かちょっと違うという認識があるのだけれど之、そこをもう一段変えるところまでいっていない。」


「男性的なものは、おまえとおれとは違うとか、よいものと悪いものとは違うとか、そういうふうにものごとをはっきり分けて考えて行く。つまり、インディビデュアリティとか、はっきりものごとを分割するとか、分割したものを構築するとか、そういうふうな意味を持ちます。

このような意味の男性性が自然科学を生み出す要因の一つと思うのですが、日本人はそれをあまり身につけなかったのではないか。」


「これは日本の話ですから蛇を殺してほかの人と結婚したというふうになっていますが、心理学的に考えれば、これは同一人物でもいいのです。


つまり自分の相手の男性の正体を見極めて、のちに、そこに一つの変化が生じ本当の結婚ができる。」


「もう一つの考えとしては、男性性というのを非常に抽象的なレベルで考えると、ひょとすると日本人は、男性性を拒否したあとでもう一度、またそれを身につけることを面白い形でやったのではないかとも考えられるのです。」