読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

はてしない物語

「「記憶のないものは、ここへ入ってくることができない、蛇たちは通さない、といっている。」
「かれにかわって、ぼくがみんな覚えています。」アトレーユが叫んだ。
「かれ自身のこともかれの世界のことも、ぼくにはなしたことをみんな覚えています。ぼくが証人になります。」」

「「ぼくたちは、二人とも正しく、また、二人ともまちがったことをしたのです。」アトレーユはいった。「でも今、バスチアンは、アウリンを自らすすんではずしました。」」


ファンタージエンで得たものは一つ残らず失い、しかし、自分の世界と自分自身についての記憶はまだ甦ってこないこないこの最後の瞬間、バスチアンは、まったくよりどころのない状態を体験した。」


「今頃、バスチアンにはわかった。世の中には悦びの形は何千何万とあるけれども、それはみな、結局のところたった一つ、愛することができるという悦びなのだと。

愛することと悦び、この二つは一つ、同じものなのだ。


あとになって、バスチアンがまた自分の世界にもどってからずっと時がたち、やがて年老いてからも、この悦びはもう消え去ってしまうことはなかった。

障害のうちの最も困難な時期にさえ、かれにはこの心の悦びがあり、それがかれをほほえませ、まわりの人々を慰めた。」



「台所はもうほとんど暗くなっていた。父さんはじっとすわったまま、身じろぎもしなかった。バスチアンは立って、電灯のスイッチをひねった。そして、これまで見たことのないものを、バスチアンは見た。

父さんの目に涙が宿っていたのだ。
やっぱり父さんに生命の水を持ってくることができたんだ、とバスチアンは思った。」


〇 私の目にも涙…でした。


「「ねえ、バスチアン。」朝食のとき、父さんがたのしそうにいった。「父さんもおまえも、二人とも今日はお祝いをしていいと思うんだ。

その理由は大ありだと思わないかい?今日のような日は、一生に一度しかこないよ_一度もこない人も多いだろうな。(略)」


〇 ここで、お祝いの提案をする父さん、いい父さんだと思います。

これで、はてしない物語のメモは、終わりにします。