読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

フランスはどう少子化を克服したか

〇 第3章 「保育園には、連絡帳も運動会もない」というところを少し端折り過ぎました。
 
 
「「うちの保育園は、使用済みのおむつを毎日保護者が持ち帰るんだよ。だから毎日5枚のおむつに名前を書いて持っていくし、使用済みおむつを入れるビニール袋も、同じように記名して一緒に持っていくの。
 
迎えに行くと、それが子供と一緒に返されるんだよ」
 
驚きのあまり、私は思わず絶句してしまいました。」
 
〇ここで、思い出したのは、娘の子育てです。
娘も子供を保育園に預けていました。そして、娘自身も保母をやっています。
 
そういえば、紙おむつに関しては、色々神経を使っていました。
まず、自分の子どもに関して。
 
・紙おむつの「質」によっては、おむつかぶれを起こすことがある。
・きちんと変えてくれるのか不信感がある。
 
 
そして、結婚前まで娘の働いていた保育園では、おむつは布おむつだったようです。
ですから、当然おむつは袋に入れて返します。
 
布おむつの方が、排せつの感覚がしっかりわかり、「育ち」に良い影響がある、というのが、理由のようでした。
私は、内心、親は大変だろうな、と思いました。
 
私が、おばさんに預けて働いていた時は、家でもおばさんの所でも、もちろん外出の時も、すべて布でした。紙おむつが出始めの頃で、まだそこにお金を使うことに抵抗がありました。
 
娘も家では布でやってましたから、おむつの洗濯は必須でした。
 
「友人は私の驚きを半ば面白がりながら、一歳児クラスの「毎日の持ち物リスト」を読み上げてくれました。
 
・名前入りの紙おむつ5枚
・名前入りのビニール袋2枚
・エプロン2枚
・口拭きタオル2枚
・手拭きタオル1枚
・コップ
・着替え(肌着・上着・ズボン)一枚ずつ
・連絡帳
・(汗ばむ時期)沐浴用タオル
・(夏季)水着・タオル・プール用連絡帳
 
エプロンやタオル類は毎日洗濯して、翌日清潔なものを持って行く。加えて毎週月曜日には、お昼寝用のかけ布団カバー(サイズ指定あり)を持参し、お送りのついでに子ども用の布団に保護者が掛け替えるのだそうです。
 
これも金曜日に持ち帰り、週末の間に洗濯をしておく。そして3カ月に一度は、布団そのものも金曜に持ち帰り、月曜日に持参する。(略)
 
 
フランスではお昼寝の掛布団もシーツも園の支給で園が洗濯して、と言いかけて、私は口をつぐみました。すごいよ。働きながらそれを毎日準備しているだけで、本当にすごいよ。毎朝の電車通勤とフルタイム勤務をこなしている彼女に対して、それ以上の言葉はありませんでした。」
 
 
〇私も本当に働いているお母さんはすごいと思います。
私自身は、職場でのこと、夫とのこと、家事と赤ちゃんの世話等々の忙しさの中で、鬱っぽくなり、もともとエネルギッシュに働く元気な人ではなかったのに加え、いつも体調が悪い、という状態になってしまいました。
 
そんな中で、こんな細々としたことは、とっても出来ないだろうと思います。
 
 
また、娘が預けていた保育園では、お着替え袋、コップの袋、お弁当袋、絵本袋、上靴袋、スモック(エプロン代わり)を用意せよ、と言われるようで、それらを私が作りました。
 
忙しい母親に作る時間はなく、買うと出費が嵩む。
でも、多分、そのように手間をかける=子供に愛情をかける という考え方なのだと思います。
 
これは、娘が保育園で働いている時がそうでした。
運動会もお誕生会も保母さんが情熱的に準備した飾り付けや手作りの品々で、
「本当に心がこもっている」もののようでした。
 
娘もそんな園の方針に感心し、共鳴し、そこで働くことを選んだのですが、
実際に自分がそれをやるとなると、毎日毎日「残業」でした。しかもそれは
心のこもった仕事をする保母として、当然の仕事なので、
残業扱いにはなりません。
 
拒否できない雰囲気の中で、3年経つうちに、娘は鬱っぽくなり、
ちょっとしたことで、泣くような人になってしまいました。
 
私としては、気持ちを割り切って、「今日は出来ない」とはっきり言わなきゃだめだよ、と電話で泣く娘に言いましたが、とても言えるような雰囲気ではない、言えない、と泣きました。
 
その主任さん自体が、とても立派な保母さんで、イイ人で、その人の方針が園を立派にしているので、その人のやり方に水を差すようなことは言えない、と言って泣きました。
 
結局、その後、精神科に通い、パキシルを飲むようになり、娘は退職しました。
 
 
「このような日仏の違いについてフランスの友人や保育関係者に話すと、十中八九、あんぐりと口を開けて驚かれます。特におむつのくだりでは、絶望的な顔をされます。」
 
 
「保護者会はなく、他の保護者と交わす会話は毎朝毎夕のご挨拶程度。日々の刈り取り以外の保育園とのつながりは年に一回の説明会、年一回の個人面談、年に2回の季節行事(クリスマスと年度末のお祭り)に限られます。(略)
 
 
保護者に対して最低限のことしか求めない考え方は、フランスにおける保育園の始まりに由来しているようです。」
 
 
〇そして、前回の「公的な保育園第一号が誕生したのは…」と続きます。
 
そこで、もう一度、この言葉を繰り返しておきたいと思います。
 
「私たちの仕事の基本は、保育園で過ごす間、子どもたちがそれぞれ尊重されていること、愛情を受けていると感じられるようにすることです。そして自宅以外の場所での他者との生活から、知覚の目覚めを促すこと。
 
それ以外のことは二の次なんです。」
 
一番肝心なことは何か、という所をしっかりブレずに確認しなけれは、
本末転倒になります。
 
「手間をかけて愛情をかけるつもり」で、忙しさにゲッソリした鬱っぽい保母さんや
母親が子どもの傍にいることは、望ましい事なのかどうか。