読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

少し感想

母性社会、父性社会といかにも、
そのような価値観でそれを選択しているかのように聞こえるけれど、
どう考えても、この「差」は、賢者と愚者の差のように見えてしようがないのですが。

私は浅はかなのかもしれません。

でも、事実をきちんと見て、それを受け入れ、その事実に即して問題解決をする人を私は賢者だと思います。

事実や現実をあいまいにして、都合の良い思い込みを信じ、気持ちよくその場を凌ぐことを優先する人は愚者だと思います。

違うんでしょうか?

長い長い歴史の中で、「事実はあいまいにしてその場しのぎをすること以上に大切なことは、この世にはない」などという文化がどこかにあるのでしょうか。

この、母性社会=場の倫理を大切にする、といかにもそれが意味のある倫理であるかのように言ってみても、そして長い歴史の中で、それを一番大事だと思っていた時期があったとしても、それは、愚かな時代だった、とはっきり認識する必要があると思います。

その場の倫理が、どれほど多くの人間の尊厳を踏みにじることで保たれてきたか、
そこをはっきりさせず、人間の尊厳などというものは、日本文化にはなかった、そのようなものは、私たちの社会にはなじまない、などと曖昧に、相対化するからこそ、私たちの社会はいつまで経っても、母性社会であり続けるのだと思います。

あの山本氏の空気の研究も読んでいくと、最後には山本氏自身が、「空気を読んで」いるかのような物言いになってしまったように、感じたのですが、
この、河合氏も、結局は、この日本で暮らしている限り、母性社会を愚者の社会ときっぱり言い切れないのだと感じて、ため息が出てしまいます。


…………


という感想を持ったのですが、でも、人間はどんな人でもそう簡単に生き方を変えることなど出来ません。育てられた環境や、持って生まれた気質から、そう簡単に自由にはなれません。

この河合氏は、さすがに心理療法士だなぁと思います。
あんたは愚者だ!とどれほどののしっても、人は頑張ってやり方を変えようとは思いません。

あなたは、今までそうしかできなかった。それは本当によくわかる、としっかり寄り添ってこそ、その人のアドバイスも受け入れようとする。

河合氏は、その為、このような言い方をしているんだ、と思い直しました(^-^;