読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

母性社会日本の病理を読んで思ったこと

〇一応最後まで読み終えました。
夢の話、昔話の話になると、どうしてもついてゆけない気分になりました。

それは、河合氏が言っていたように、私も次のように感じたからです。

「しかし、これが日本人と西洋人となると「好み」の次元を超えて、質的なものと感じられるまでになって来る。

われわれ日本人から見れば、彼らはあまりにも明確化しすぎ、言い切りすぎるように思えるし、端的にいうと「西洋人はどうして、あれほど簡単に信じることが出来るのだろう」という感じになるのである。

これを、彼らからいわせると、日本人のやり方はあまりにも不明確で、「分かっているのか、分かっていないのかもわからない」状態と見えるのである。」


〇これは、キリスト教を知ろうとしていた時にも感じたことです。
「神はそう言われます」と牧師が言います。
でも、その時私は思います。
牧師は神ではない。なぜその神ではない牧師に神のことがわかるのだろう?と。

「夢の中の「爪を切る」のは「去勢」のこと」、という説明だって、私にはなぜそんなに簡単に言い切れるのだろう、と信じられない気持ちになります。

牧師が神の言葉を伝えてくれるのも、夢の分析に関しても、
多分そこには、多くのデータや研究があって、それを一般人に分かりやすく説明しようとして、そうなるのだろう、とは思いますが…。

それから、アメリカ映画などを見ていても、本当にすぐに人を信じます。
なぜそんなに信じられるのか…。


ヤスパースが西洋は一つになった時代がある、というようなことを言いました。
どの国もキリスト教を信じたからだと思います。
なぜそれだけの国が、人びとが、キリスト教を信じることが出来たのか。

人間の気質が違うといってしまえばそれまでですが、
「信じる」ことが得意な人種なんでしょうか…
そこがすごく不思議です。

私はそんなにまっすぐに信じられません。

でも、言えることは、「信じる人がいる」→「信じるに足る信頼が生まれる」→「信用が現実の生活に根差したものになる」

その土台があってこそ、あのハラリ氏が「サピエンス全史」で言っていた、
「パイの拡大」が現実のものになったということは事実だと思いますし、
不完全とはいえ、互いを尊重し合う世界平和が昔よりも近づいたのも事実だと思います。


日本は逆です。
賢い人は嘘がつける人、みたいな言い方があります(葉隠)。

これを言われて、実際にウソをつく賢い人が大勢出てくると、
「信用」などというものは世の中に生まれません。

それって、本当に賢い人の考えなんだろうか?
と私などは思います。


いずれにしても、この「信じる」ことが出来ない限り、ここの気質が変わらない限り、私たち日本人は、どれほど欧米文化を真似ても、根っこのところで、違ってしまうだろうな、と思います。


信じる文化を作りたかったら、信じられるシステムにする。
そのためには、善と悪をはっきりさせて
悪はダメときっぱり決める。

そうでなければ人を信じるなんてできない社会になる。

人を信じられない、そんな社会で
どれほど社会福祉や民主主義を叫んでも
上澄みを真似てることにしかならないと思います。


日本的でありたいなら…

善も悪もない
ウソをつくのが賢いやり方
個人の気持ちよりも場の平衡の方が大事

というやり方をする。

それで、資本主義が成り立つのか。
文明国になれるのか。

もう、イイとこどりのごまかしは止めて
「愚かな日本的」はやめよう!!ときっぱり決断すべきだと思います。

自然に成り行きに任せるのではなく、
「努力して」「意識的に」
より「マシな選択」を積み上げて「賢い日本的」をつくり上げるしかないと
私は思います。