読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私はこのクラスが解散になることをまだ子供たちに話していなかった。子供たちの何人かは、次の学年から自分たちがいまよりも制約の少ないクラスに移ることを知っていた。」



「セーラのことをどいうするかはまだ決めかねていた。彼女はいまの教室ではうまく適応できるようになっていたが、大人数の中に入るとまだどうしてもひきこもってしまうところがあった。

私はあと少なくとも一年は障害児学級にいる必要があるのではないかと思っていたが、それでもあともう少しというところまで来ていた。


残念ながらピーターは特別な扱いから抜け出ることは出来ないだろう。神経の損傷がひどくなってきているせいで、彼の行動はひどくなるいっぽうだった。」



「で、シーラは?そう、シーラだ。私はまだ彼女にこのクラスがもうすぐ終わりになることを話していなかった。そのことを話したら、何が起こるかわからなかったので、一日延ばしにしていたのだ。」



「私は彼女を三年生に編入させてくるようにエドにいってみようかと考えているところだった。彼女は小さいけれど、勉強の面でも社会的にも三年生に近かったからだ。


情緒的な問題はあるが、年のわりには早熟だった。それに、私には町の反対側の学校で三年生を教えている仲のいい友人がいた。こちらから要請すれば、学区はシーラをバスでその学校まで運んでくれるはずだ。(略)


サンディなら私のためにシーラの世話をきちんとしてくれるはずだ。私自身のためにもこういう保証が必要だった。」


「シーラはこの試みにまったく乗ってこなかった。私があれこれ理由をつけて勧めると、ことごとく反論してきた。」



「もしいかなきゃいけないんだったら、いい子にはしないから。悪いことをしたら、向こうの先生はあたしをここに送り返すはずだよ。そうしたらもうあたしを向こうにやることができなくなるよ」

「シーラ」私は腹が立ってきた。「自分のいったことをちょっと考えてごらんなさい。そんなことしたくないくせに」
「ううん、したいよ」まだ本から顔を上げずに、彼女はいった。」



「シーラはこの話をそれ以上しようとはしなかったし、彼女のいったことは嘘ではなかった。私は彼女を月曜の午前中三十五分間の予定で、ミセス・ギンズバーグのクラスに送り込んだ。だが十五分もしないうちに、アントンが彼女を連れ戻しに行かなくてはならなかった。」



「私に直接反旗を翻したことを、シーラはかなり恐れているようだった。その日はずっと私にすごく気を使い、自分がどれだけちゃんとしているかを私に見てもらおうと努めていた。」



「心がずしんと重く沈んだ。「いいえ」と私はやさしく答えた。
彼女の目がぎらっと光った。「ここに来る!世界でいちばん悪い子供になってやる!すっごくひどいことをやってやるんだ。

そうしたらトリイのクラスにこられるから。あたしを外に出したらだめだっていわれるよ」


「まあ、シーラ」私は泣きたくなった。
「あたしは他のどこにもいかない。また悪いことをやってやるんだ」
「そうじゃないのよ、シーラ。あなたを追い出そうとしているんじゃないの。ああ、シーラ、私のいうことをよく聞いてね」彼女は両耳を手で覆った。


そして怒り狂った目で私を睨んだ。怒り、傷ついた目だった。昔の復讐に燃えたときの表情がほの見えた。」