読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「下流志向_学ばない子どもたち 働かない若者たち_

たち「内田  (略)老人や障害者の場合、彼らの社会的な弱さは彼らが進んで選んだものではない。でも、ニートは違う。憲法が彼らの教育を受ける権利を保障し、職業訓練の機会も提供され、就業機会もあったにもかかわらず、自らの意思で学びを放棄し、労働を放棄した人に税金を注ぎ込んで扶養しなければならない。

そのような施策を正当化するためには、ニートニートになったのは自己責任ではなく、「ある時代に支配的だったイデオロギーの犠牲者」であるという考え方を納税者が受け容れる必要がある。


僕が別に専門家でもないのに、教育論やニート論を仕上げることを急務だと感じているのは、ニートを孤立させてはならないと思うからです。」


〇この考え方が、とても良いと思います。


「これは僕がセックスワーク論で書いたことと一緒なんですけど、僕は売春ということを良いことだとは思わない。でも現に売春をして生計を立てている女性の人権は守られなければならないと思っている。

売春は違法だけれど、売春婦の人権は尊重されなければならない。そう言うと、みんな怒り出すんです。どっちかにしろ、と。」

〇「罪を憎んで人を憎まず」という考え方は、なぜ広まらないのだろう、と残念です。悪いと知っていながらも、その罪を犯してしまう人がいる。確信犯もいれば、罪ではないだろうと思って犯す人もいる。

でも、内田氏は、売春は違法で悪だときちんと言っていて、その態度が潔く、好きです。でも、その人は守られるべきだ、と。

私も同感です。


「売春は違法なんだから、売春婦に労働者の権利は認めないという頭の固い法律家が一方におり、売春するのは個人の権利であり、父権性秩序に対する異議申し立てであるから、売春を合法化するべきだという社会学者がいる。

どっちのいうこともおかしいと僕は思います。私の提案は、「もう売春婦になっている人」についてはその人権を守り、「これから売春婦になろうという人」には「やめた方がいいよ」と忠告するということなんです。ごく常識的な考え方だと思うんですけれどね。

ニートについても同じことを思うわけです。」


〇ううむ~~ ここの考え方は私は違います。売春婦の人権は守られるべきだと思いますが、売春を労働と認めて、労働者の権利を認めるとき、売春は結果として、容認されたことになるのでは?


でも、多分、売春は飲酒や喫煙と同じように、どれほど禁止してもやめられない人がいるというのが、人間の実態なので、違法で犯罪とは言いながら、窃盗や傷害のような罪と同じには考えない方が良い、ということなんでしょうね。

私は、多分、頭が固いのだろうなぁ…


「F ニートの面倒を、どうして私たちが見なくちゃいけないのか、その理屈はわかりにくいですね。

内田 そうですか。困ったな。でも、ニートの面倒を見なかった場合に発生する社会的コストの方がはるかに高くつくと思いませんか。コストなんていうと、これも経済合理性に即した議論みたいに聞こえるかもしれませんけれど、僕の言っている「コスト」というのは、ビジネス的な意味のコストではなく、人類学的な意味でのコストです。


もし、ニートを放置したら、いずれ街路にホームレスがあふれてくる。それは止めようがない。(略)


基礎的な社会的能力がない人たちが大量に路上にあふれてきた場合の、セキュリティーの問題とか衛星の問題であるとか、その人たちが大量発生してあるエリヤ全体が一気にスラム化していくとか、そういうことが発生してくるネガティヴな経済効果を考えたら、税金で彼らの面倒を見て、静かに引きこもってもらう方がずっと安上がりだと思いませんか。」



「社会とかかわりを持たないことで、自分の中のピュアな部分をずっと生かし続けられると思っている人を揺り動かすためにお金という「餌」は使えない。彼らが幼児のときに最初に刷り込まれた「消費主体としてのアイデンティティ」を根本から揺り動かすような精神的な経験がなければ、ニートという生き方はたぶん変わらない。」


〇私も精神的には半分ニートのような人間なので、世間知らずなのですが、そんな「立派な?」ポリシーの基に、ニートという生き方を選択している人々がいるんですね。私の周りの「働かない若者」は、皆、社会の荒波に負けて引きこもっている人に見えます。

だから、なぜ社会は、それほどの荒波で若者を「鍛えようと」するのかと、疑問でした。結局、皆鍛えられる前に、引きこもってしまいます。もっと順応しやすい段階を踏むことができたら、少なくとも、私の知っている若者たちは、働けるはずなんです。

何度も就職しようと面接を受けています。
それを、なぜあのように汚い言葉で傷つけて罵倒するのか。
わざわざ引きこもりの人を作り出そうとしているようにすら見えます。

学校でいじめられ、社会でいじめられ、心身症のようになっています。


「内田  ニートイデオロギー的な存在ですから、生まれた家の経済状態とニートの発生は原理的には関係ないと思います。ある調査によると、ニートのいる家庭は平均よりも年収が少ないそうです。(略)


むしろ親が懸命に働いているのに収入が少ないという事態はニートにとって「労働することの無意味さ」をいっそう深く確信させることになるんじゃないですか。」