読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史 上 <沈黙の帳>

「古代狩猟採集民の生活の全体像を復元するのが難しいとすれば、具体的な出来事はほぼ回復不能だ。」


「それでもなお、答えが得られないような問いを発することは不可欠だ。そうしなければ、「当時の人々は重要なことは何もしなかった」などという言い訳をして、人類史七万年のうちの六万年を切り捨てる誘惑に駆られかねない。


実際には、彼らは重要なことを数多く行った。とくに、彼らは私たちの周りの世界を一変させた。それがどれほど大きな変化だったのかに、ほとんどの人が気付いていない。


シベリヤのツンドラや、オーストラリア大陸中央部の砂漠、アマゾンの熱帯多雨林を訪れるトレッカーは、人間の手に事実上まったく触れられていない原始のままの領域に入ったとばかり思いこむ。

だが、それは錯覚だ。そこには狩猟採集民が私たちよりも先に立ち入っており、彼らはどれほど植物の繁茂する密林や、どれほど荒涼とした原野にさえも、劇的な変化をもたらした。


次章では、最初の農村が出来上がるよりもはるか以前に、狩猟採集民が私たちの惑星の生態環境をどのようにして完全に作り変えたかを説明する。

物語を語るサピエンスの流浪の集団は、動物界が生み出したうちで最も重要かつ破壊的な力だったのだ。」