読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史 上 <告発のとおり有罪>

「気候の気まぐれな変動(このような場合のお決まりの容疑者)に責めを負わせて私たちの種の無実の罪を晴らそうとする学者もいる。(略)


第一に、オーストラリア大陸の気候はおよそ4万5千年前に変化したとはいえ、それはあまり著しい変動ではなかった。(略)


過去100万年間には、平均すると10万年ごとに氷河時代があった。(略)


また、約7万年前、最後の氷河期の最初のピークも生き延びた。それならばなぜ、4万5千年前に消えてしまったのか?
もちろん、このころ消えた大型動物がディプロトドンだけだったのなら、ただの偶然の巡りあわせだったかもしれない。


だが、ディプロトドンとともに、オーストラリア大陸の大型動物相の9割以上が姿を消した。この証拠は間接的ではあるものの、これらの動物がみな寒さでばたばたと死んでいるまさにそのとき、サピエンスがたまたまオーストラリア大陸に到着したというのは、想像しがたい。」


「第二に、気泡変動が大規模な絶滅を引き起こすときにはたいてい、陸上動物と同時に海洋生物にも大きな被害が出る。それなのに、4万5千年前に海洋動物相が著しく消失したという証拠はない。」



「第三に、このオーストラリアでの原初の大量消失に類する大規模な絶滅が、その後の歳月に何度となく繰り返されている。(略)


たとえば、約4万5千年前の「気候変動」と称されるものを無傷で切り抜けたニュージーランドの大型動物相は、人類が最初に上陸した直後に、壊滅的な打撃を被っている。


ニュージーランドにおける最初のサピエンスの移住者であるマオリ人は、800年ほど前に、この島々にやってきた。その後200年のうちに、地元の大型動物相の大半は、全鳥類種の六割とともに絶滅した。」


オーストラリア大陸の移住者たちが利用できたのは、石器時代の技術だけだ。それなのに、どうやってこのような生態学的大惨事を引き起こすことが出来たのか?


それには、ぴったり噛み合う三つの説明がある。」


「それとは対照的に、オーストラリア大陸の大きな生き物たちは、逃げることを学ぶ暇がなかった。人類は特別危険そうには見えない。」


「第二の説明は、サピエンスはオーストラリア大陸に到達した頃にはすでに、焼き畑農業を会得していた、というものだ。(略)


この説を裏付ける証拠として挙げられるのが、植物の化石記録だ。ユーカリの木は、4万5千年前にはオーストラリア大陸では珍しかった。だが、ホモ・サピエンスの到着とともに、この木は黄金時代を迎えた。ユーカリの木は火事に非常に強いので、他の高木や低木が姿を消すのを尻目に、広く分布するようになった。」



「第三の説明は、狩猟と焼き畑農業が絶滅に重大な役割を果たしたことには同意するが、気候の役割を完全には無視できないことに重点を置く。(略)


気候変動と人間による狩猟の組み合わせは、大型動物にとりわけ甚大な被害をもたらした。」