読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史  上 <オオナマケモノの最期>

「だが、その後には、なおさら大きな生態学的惨事が続いた。(略)


寒さに適応したネアンデルタール人たちでさえ、もっと南のそれほど寒くない地方にとどまった。だがホモ・サピエンスは、雪と氷の土地ではなくアフリカ大陸のサバンナで暮らすのに適応した身体を持っていたにも関わらず、独創的な解決策を編み出した。


サピエンスの狩猟採集民の放浪集団は、前より寒い地方に移り住んだ時、雪の上を歩くために履物や、幾重にも重ね、針を使ってきつく縫い合わせた毛皮や皮革から成る、保温効果の高い衣服の作り方を身につけた。(略)



だが彼らはなぜ、わざわざそんなことをしたのだろう?どうしてシベリア流刑を自ら選びとったのか?」



「スンギルでの発見が立証しているとおり、マンモス狩猟民は凍てつく北の地方でたんに生き延びただけではない。彼らは大いに繁栄していたのだ。」



「彼らはもともと北極圏で大きな獲物の狩に適応していたが、驚くほど多様な気候と生態系に間もなく順応した。シベリア人の子孫は、現在のアメリカ合衆国東部の鬱蒼とした森や、ミシシッピ川デルタ地帯の湿地、メキシコの砂漠、中央アメリカのうだるような密林に住みついた。


アマゾン川流域の川の世界に落ちつく者もいれば、アンデス山脈の渓谷や、アルゼンチンの開けた大草原に根を下ろす者もいた。


そして、これはみな、わずか1000年か2000年の間に起こったのだ!(略)


アメリカ大陸を席巻した人類の電撃戦は、ホモ・サピエンスの比類のない創意工夫と卓越した適応性の証だ。どこであっても事実上同じ遺伝子を使いながら、これほど短い期間に、これほど多種多様な根本的に異なる生息環境に進出した動物はかつてなかった。」



「動物の遺物を探し、研究する古代生物学者や動物考古学者は、古代のラクダの化石化した骨やオオナマケモノの石化した糞便を探して、何十年にもわたって南北アメリカの平地や山々をくまなく調べて来た。


お目当てのものを見つけると、そうした宝は注意深く梱包されて研究室に送られ、そこで骨や糞石(化石化した糞を意味する専門用語)が一つ一つ入念に調べられ、年代が推定される。


そうした分析からは、繰り返し同一の結果が得られる。最も新しい糞石も、最も新しいラクダの骨も、人間がアメリカ大陸に殺到した時代、すなわちおよそ紀元前一万二千~九千年にさかのぼるのだ。(略)


私たちが犯人なのだ。この事実は避けて通れない。仮に気候変動の手助けがあったとしても、人間が関与したことは決定的なのだ。」


〇このハラリ氏は、まるで、大工さんの棟梁のように、また、名探偵ポアロのように、学者たちの様々な研究を組み合わせて、一つの結論を導き出しているように見えます。

そして、またまた「真理は強制する」です。
「私たちが犯人なのだ。この事実は避けて通れない」

この結論に行きついたなら、その結論を避けようとするのは、人間として信じられないほど愚かでまともにつき合えないほど幼稚で軽蔑すべき人、ということになります。

あの刑事コロンボの犯人は、事実を突きつけられたら、潔く認めます。
どれほどひどい犯罪を犯した人でも、事実は認めます。

安倍総理に爪のあかを煎じて飲ませたい。