読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史  上 <贅沢の罠>

「この変化は段階を追うもので、各段階では、日々の生活がわずかに変わるだけだった。」


「他の多くの哺乳動物と同じで、人類は繁殖を制御するのを助けるホルモンや遺伝子の仕組みを持っている。」



「他にも、完全な、あるいは部分的な性的禁欲(文化的タブーの後押しがあったかもしれない)、妊娠中絶、ときおりの間引きといった方法も採られた。」


「最初のうちは、収穫期に四週間ほど野営していたかもしれない。二、三〇年すると、小麦が増えて広がり、収穫の野営も五週間、六週間と延び、ついには永続的な村落になった。そのような定住地の証拠は、中東、とくに紀元前一万二千五〇〇年から紀元前九千五〇〇年にかけてナトゥーフ文化が栄えたレヴァント地方で発見されている。」


「野生の小麦を採集していた人と、栽培化した小麦を育てていた人とは、何であれ単一のステップで隔てられているわけではないので、農耕への決定的な移行がいつ起こったかを正確にいうのは難しい。」


「だが、食べさせてやらなければならない人が増えたので、余剰の食物はたちまち消えてなくなり、さらに多くの畑で栽培を行わなければならなかった。」


「時がたつにつれて、「小麦取引」はますます負担が大きくなっていった。子供が大量に死に、大人は汗水垂らしてようやく食いつないだ。


紀元前8500年にエリコに住んでいた平均的な人の暮らしは、同じ場所に紀元前9500年あるいは一万三千年に住んでいた平均的な人の暮らしよりも厳しかった。

だが、何が起こっているのか気づく人は誰もいなかった。各世代は前の世代と同じように暮し、物事のやり方に小さな改良を加える程度だった。皮肉にも一連の「改良」は、どれも生活を楽にするためだったはずなのに、これらの農耕民の負担を増やすばかりだった。」


〇今も同じようなことが起こっているようです。いわゆる「安売りスーパー」のような所で、安い物を買う、その行動が結果として、安売りスーパーの従業員の給料を低くし、その物を作っている人々の給料も低くする。

儲かるのは、オーナーだけ、というシステムになっていると、聞いたことがあります。

そして、「何が起こってるのか気づくのは誰もいない」状態です。


「人々はなぜ、このような致命的な計算違いをしてしまったのか?それは、人々が歴史を通じて計算違いをしてきたのと同じ理由からだ。人々は、自らの決定がもたらす結果の全貌を捉えきれないのだ。」


「より楽な暮らしを求めたら、大きな苦難を呼び込んでしまった。しかもそれはこのとき限りのことではない。苦難は今日も起こる。」


「歴史の数少ない鉄則の一つに、贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる、というものがある。」


「贅沢の罠の物語には、重要な教訓がある。(略)数人の腹を満たし、少しばかりの安心を得ることを主眼とする些細な一連の決定が累積効果を発揮し、古代の狩猟採集民は焼けつくような日差しの下で桶に水を入れて運んで日々を過ごす羽目になったのだ。」