読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史  上 <官僚制の驚異>

メソポタミア人はやがて、単調な数理的データ以外のものも書きとめたいと思い始めた。紀元前3000年から紀元前2500年にかけて、次第に多くの記号がシュメール語の書記体系に加えられ、今日では楔形文字と呼ばれる完全な書記体系へと徐々に変わって行った。」



「完全な書記体系は、これらの初期の中心地から各地へ広がり、さまざまな新しい形を取り、斬新な役割を担う方になった。人々は詩歌や歴史書、伝奇物語、戯曲、預言、料理本などを書き始めた。(略)


ヘブライ聖書(旧約聖書)、ギリシアの「イリアス」、ヒンドゥー教の「マハーバーラタ」、仏教の三蔵(経蔵・律蔵・論蔵)はすべて、もともと口承作品だった。」



「現代の考古学者は、古代メソポタミアの学校で行われた初期の練習の遺物を発見した。それを見ると、約4000年前の生徒たちの日華が窺える。


教室に入って座ると、先生が私の粘土板を読んだ。先生は言った。「漏れがある!」
そして先生は私を鞭打った。
担当者の一人が言った「私の赦しもなしになぜ口を開けたのか?」
そしてその担当者は私を鞭打った。
規律の担当者が言った。「私の許しもなしになぜ立ち上がったのか?」
そしてその担当者は私を鞭打った。
門番が言った。「私の許しもなしになぜ出ていくのか?」
そして門番は私を鞭打った。
ビールの入れ物の番人が言った。「私の許しもなしになぜ飲んだのか?」
そして番人は私を鞭打った。
シュメール語の先生は言った。「なぜアッカド語を話したのか?」
そして先生は私を鞭打った。
先生は言った。「お前の書き方はなっていない!」
そして先生は私を鞭打った。」


「このような引出しのシステムを運営する人は、正常に機能するためには、普通の人間として考えるのをやめて、整理係や会計士として考えるように、頭をプログラムし直さなければならない。


古代から今日に至るまで、誰もが知っている通り、整理係や会計士は普通の人間とは違う思考法を採る。彼らは書類整理用のキャビネットのように考えるのだ。


それは彼らの落ち度ではない。そのように考えなければ、彼らの引き出しは大混乱になり、彼らは政府や企業や組織が必要とするサービスを提供できないだろう。


書記体系が人類の歴史に与えた最も重要な影響は、人類が世の中について考えたり、世の中を眺めたりする方法を、徐々に変えたことだ。自由連想と網羅的思考は、分類と官僚制に道を譲ったのだ。」