読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史  上 <数の言語>

「何世紀も過ぎるうちに、官僚制のデータ処理方法は、人間の自然な思考法からますますかけ離れていった。そしてますます重要になっていった。ある、決定的に重要な進展が九世紀より前に起こった。


新しい不完全な書記体系が発明され、前代未聞の効率性をもって数理的データを保存したり処理したりできるようになったのだ。この不完全な書記体系は〇から九までの一〇個の数を表す記号から成っていた。


紛らわしい話だが、これらの記号は古代インド人が最初に発明したにもかかわらず、アラビア数字として知られている(さらにややこしいのだが、現代のアラビア人は西洋のものとは外見が非常に異なる数字を使っている)。


だが、アラビア人がその栄誉にあずかったのは、彼らがインドに進入した時、この数字のシステムに出会い、その有用性を理解し、それを洗練させ、まず中東に、その後ヨーロッパに広めたからだ。


後にアラビア数字にいくつか他の記号(足し算や引き算、掛け算の記号など)が加えられると、近代的な数学的表記の基礎が誕生した。


この書記の体系は今なお不完全な書記体系のままだが、世界の最も有力な言語となった。」


「したがって、政府や組織、企業の決定に影響を与えたいと望む人は数を使って語ることを学ぶ必要がある。」


「だが、話はここで終わらない。人工知能の分野は、コンピューターの二進法の書記体系だけに基づいた新しい種類の知能を生み出そうとしている。「マトリックス」や「ターミネーター」といったサイエンス・フィクション映画は、二進法の書記体系が人類の軛をかなぐり捨てた日のことを描いている。


反乱を起こしたこの書記体系を人類が再び手懐けようとしたとき、この書記体系はそれに反発し、人類を一掃しようと試みるのだ。」