読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史   上 <歴史は統一に向かって進み続ける>

「人類の文化は絶えず変化している。この変化は完全にランダムなのか、それとも、何かしら全体的なパターンを伴うのか?言い換えると歴史には方向性があるのか?


答えは、ある、だ。何千年もの間に、小さく単純な文化が、より大きく複雑な文明に少しずつまとまって行ったので、世界に存在する巨大文化の数はしだいに減り、そうした巨大文化のそれぞれが、ますます大きく複雑になった。」



「歴史の進む全般的な方向を理解する最善の方法は、地球という惑星上に同時に存在する別個の人間社会の数を数えることだ。」



「地球上には異なる人間社会が幾つ存在したのだろう?紀元前一万年ごろ、この星には何千もの社会があった。紀元前2000年には、その数は数百、多くても数千まで減っていた。


1450年には、その数はさらに激減していた。ヨーロッパ人による大航海時代の直前だった当時、地球にはタスマニアのようなごく小規模な世界が以前として相当数あった。だが、人類の九割近くが、アフロ・ユーラシア大陸という単一の巨大世界に暮らしていた。


アジアとヨーロッパの大半と、アフリカの大半(サハラ砂漠以南のかなりの部分を含む)は、文化、政治、経済の重要な絆ですでに結ばれていた。

世界人口の残り一割の大半は、相当な規模と複雑さを持つ四つの世界に分かれていた。

1 メソアメリカ世界 — 中央アメリカのほぼ全土と北アメリカの一部に及ぶ領域。

2 アンデス世界 ― 南アメリカ西部のほぼ全土に及ぶ領域。

3 オーストラリア世界 ― オーストラリア大陸全土に及ぶ領域。

4 オセアニア世界 ― ハワイからニュージーランドまで、太平洋南西部の島々の大半を含む領域


その後300年間に、アフロ・ユーラシア大陸という巨人は、他の世界をすべて呑み込んだ。」



アフロ・ユーラシア大陸という巨人が、呑み込んだものをすべて消化するまでには数世紀かかったが、この過程は逆転不可能だった。今日、人類のほぼ全員が同一の地政学的制度(地球全体が、国際的に承認された国家に分割されている)や、


同一の経済制度(資本主義の市場勢力が、地球上の最果ての地まで支配下に置いている)、同一の法制度(少なくとも理論上は、人権と国際法があらゆる場所で有効になっている)、同一の科学的制度(イラン、イスラエル、オーストラリア、アルゼンチン、その他どこの専門家であれ、原子の構造あるいは結核の治療法について、完全に見解を一にしている)を持っている。」