読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サスペンス全史  上 <グローバルなビジョン>

「実際的な視点に立つと、グローバルな統一の最も重要な段階は、数々の帝国が発展し、交易が盛んになった、過去数世紀の間に展開した。」


ホモ・サピエンスは、人々は「私たち」と「彼ら」の二つに分けられると考えるように進化した。「私たち」というのは、自分が何者であれ、すぐ身の回りにいる人の集団で、「彼ら」はそれ以外の人全員を指した。


じつのところ、自分が属する種全体の利益に導かれている社会的な動物はいない。(略)
だが認知革命を境に、ホモ・サピエンスはこの点でしだいに例外的な存在になっていった。人々は、見ず知らずの人と日頃から協力し始めた。」



「紀元前1000年紀に普遍的な秩序となる可能性を持ったものが三つ登場し、その信奉者たちは初めて、一組の法則に支配された単一の集団として全世界と全人類を想像することが出来た。


誰もが「私たち」になった。いや、少なくともそうなる可能性があった。「彼ら」はもはや存在しなかった。真っ先に登場した普遍的秩序は経済的なもので、貨幣という秩序だった。


第二の普遍的秩序は政治的なもので、帝国という秩序だった。第三の普遍的秩序は宗教的で、仏教やキリスト教イスラム教といった普遍的宗教の秩序だった。



「私たち vs  彼ら」という進化上の二分法を最初に超越し、人類統一の可能性を予見し得たのは、貿易商人や征服者、預言者だった。貿易商人にとっては、全世界が単一の市場であり、全人類が潜在的な顧客だった。


彼らは誰にでもどこにでも当てはまる経済的秩序を打ち立てようとした。征服者にとっては、全世界は単一の帝国であり、全人類は潜在的な臣民であり、預言者にとっては、全世界は単一の真理を内包しており、全人類は潜在的な信者だった。彼らも、誰にでもどこにでも当てはまる秩序を確立しようとしていた。」


「その征服者とは、貨幣だ。同じ神を信じていない人々も、同じ王に従属していない人々も、喜んで同一の貨幣を使う。あれほどアメリカの文化や宗教や政治を憎んでいたウサマ・ビンラディンでさえ、アメリカのドルは大好きだった。神も王も通用しない所で、なぜ貨幣は成功出来たのだろう?」