「1519年、エルナン・コステス率いる征服者が、それまで孤立していた人間世界の一つであるメキシコに侵入した。アステカ族(現地に住んでいた人々は自らをそう呼んでいた)は、このよそ者たちが、ある黄色い金属に途方もない関心を示すことにたちまち気づいた。」
「実際、スペイン人たちの出身地であるアフロ・ユーラシア世界では、金への執着は伝染病の様相を呈していた。激しい憎悪に燃える敵同士でさえ、この役に立たない黄色い金属を喉から手が出るほど欲しがった。」
「キリスト教徒の征服者たちが造ったこの四角い硬貨には、流麗なアラビア語の文字で次のように宣言されていた。「アッラーの地に神はなし、ムハンマドはアッラーの使徒なり」。メルグイユやアグドのカトリックの司教さえもが、広く流通しているイスラム教徒の硬貨の忠実な複製を発行し、敬虔なキリスト教徒たちも喜んでそれを使った。