読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史  上 第10章 最強の征服者、貨幣

「1519年、エルナン・コステス率いる征服者が、それまで孤立していた人間世界の一つであるメキシコに侵入した。アステカ族(現地に住んでいた人々は自らをそう呼んでいた)は、このよそ者たちが、ある黄色い金属に途方もない関心を示すことにたちまち気づいた。」



「実際、スペイン人たちの出身地であるアフロ・ユーラシア世界では、金への執着は伝染病の様相を呈していた。激しい憎悪に燃える敵同士でさえ、この役に立たない黄色い金属を喉から手が出るほど欲しがった。」


キリスト教徒の征服者たちが造ったこの四角い硬貨には、流麗なアラビア語の文字で次のように宣言されていた。「アッラーの地に神はなし、ムハンマドアッラー使徒なり」。メルグイユやアグドのカトリックの司教さえもが、広く流通しているイスラム教徒の硬貨の忠実な複製を発行し、敬虔なキリスト教徒たちも喜んでそれを使った。


寛容性は反対側の陣営でも盛んに発揮された。(略)異端者であるキリスト教徒に対する聖戦を呼びかけるイスラム教徒の支配者たちまでもが、キリストや聖母の加護を祈願する硬貨で、喜んで税を受け取った。」