読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ふしぎなキリスト教  4 ユダヤ民族の受難

「H じゃあ、次のポイントは、王が登場すること。(略)
サムエルになぜそんな権限があるかというと、ヤハウェの声を聴いたから。Godがいると、Godが選んだからという理由で王制をつくりやすい。こうして、ヤハウェ信仰と王制が結びついた。」

〇このヤハウェの権威で王制を作った、という話をきいて思い出したのが、「日本中世の民衆像」の中にあった「権威」についてです。

日本でも、特権を保証する時には、権威が必要だったと説明されています。
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・自由往来の特権を保証していたのは西国では天皇

   ・中世前期、南北朝ごろまで、実質天皇がその特権を保証していたので、
    天皇が政治的実力をなくし特権を保証する力を失っても
    伝説として江戸時代まで残った

   ・西国では天皇が権威

   ・東国では源頼朝が権威

   ・東国には天皇と異なる独自の権威(源頼朝)がある

   ・東国と西国は異なる民族ともいえる

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「H これが、ユダヤ教の歴史の、二番目の転換点です。
Godが王を任命するのだとすると、王を相対化できる。王がなにか間違いをしたら、預言者がGodの声を聴いて、王を批判しに乗り込んでくる。「王は間違っている、なぜなら、神との契約に反して……」みたいなことを、演説して歩くこともできる。(略)



預言者のやっているのは、イスラエルの民をとりまく国際情勢や国内政治を、ヤハウェの目でみることなんです。王の行動が、ヤハウェ信仰に照らして正しいかどうか、チェックする。
こういう予言がつみ重なって、ヤハウェ信仰は、さらに次の段階に進みます。(略)



いったいなぜ、こんな苦しみにあうのだろう。ヤハウェはなぜ救ってくれないのか。人々は悩みに悩んで、こんな風に考えるようになった。
ヤハウェは、我々だけの神ではない。世界を創造し、世界を支配している。アッシリアバビロニアが攻めてくるのも、ヤハウェの命令だからだ。


我々がヤハウェに背き、罪を犯したから、懲らしめのためである。つまり、われわれに原因がある。(略)



ここでヤハウェは、イスラエルの民の神から、世界を支配する唯一の神に格上げされているんです。ヤハウェが自分たちだけの神なら、他の民族が彼らの神を拝むのは仕方がない。でも、それはもう認めない。ヤハウェは唯一の神で、世界を支配している。ヤハウェ以外の神は、神でなく、偶像にすぎない。こういう信念に成長した。(略)



バビロンには、天地創造の神話や大洪水の物語などがあって、それを取り入れた。聖書の冒頭の「創世記」も、こうしてできあがった。ただし元の物語のままではなく、ヤハウェ信仰に合うように編集が加わっています。



さて、ヤハウェにどうやって仕えるか。それには、三通りのやり方があった。
第一は、儀式を行う。(略)
第二は、預言者に従う。(略)
第三は、モーセの律法(聖書にまとめられている)を守って暮らす。(略)


ところが、この三つのやり方の中心となる人々(祭司、預言者、律法学者)が、お互いに仲が悪いのです。(略)



エスが処刑された後、エルサレムの神殿が破壊され、神殿を拠点にしていた祭司がいなくなった。預言者もとっくにいない。律法学者だけ残った。これが、今私たちが知っているユダヤ教です。


律法学者をラビと呼びます。彼らは、ユダヤ社会に欠かせない存在です。そうやって律法を守り、二千年の歴史を歩んできた。」