読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ふしぎなキリスト教  12 贖罪の論理

「O でも、ふつうに考えてみると、なぜキリストが死んだら人間の罪が贖われたことになるか、実はよくわからないのです。


H このことは聖書に、はっきり書いてありません。なぜ書いてないのか?当たり前すぎると思って、書いてないのかもしれない。よくわからない。
で、私が一番納得しているのは、古代法の、同害報復説です。「目には目を、歯には歯を」という……。

O 復讐の論理みたいなものですね。

H 復讐の論理です。
同害報復は、復讐法の一種で、ユダヤ民族や古代世界の人々には常識みたいなものだった。(略)


同害報復は、罪(片目をつぶした)に等しい罰(片目をつぶす)を与えるべき、という基準を示すもので、罰が大きすぎないほうにする点に主眼がある。復讐を、正義に従わせるための原則なのです。


では、「罪がないのに罰せられる」とは、どういう状況か。これがまさに、イエス・キリストが引き受けたことです。その結果、何が起こるのか。(略)


この場合、真犯人のaを処罰できるか。出来ないんです。もう、一人殺してしまった。同害報復ですから、一人殺されたら、復讐は一人だけ。それ以上殺すことは出来ない。


O それでイーブンということですよね。(略)

O それはひとつの解釈として、あり得るかもしれませんね。(略)
例えば、「創世記」のイサク奉献みたいなやり方だったらまだわかるんです。つまり、罪を犯している人間に対して、同害報復の論理で取引してやるから、人間の中から一人犠牲者を出しなさいと神に言われたのであれば、理屈としては通ります。(略)

H このように、イサクの犠牲とイエスの犠牲が、一人息子を捧げるという構図で、対応しているのだから、ヤハウェは人間に応答していると考えられるのです。

O いずれにせよ、キリストの贖罪の論理というのは、なかなか難しい。(略)ピンとこないというのは、敢えて言うと、神様というのはなかなかユニークな性格の方ですね、ということなんですが(笑)。


H いや、これはメッセージなんです。イエス・キリストが生まれ、十字架で犠牲になったことが、神からのメッセージだと思えるなら、キリスト教徒です。」