読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ふしぎなキリスト教  18 キリスト教をつくった男・パウロ

「O さて、もう何度か言及されているけれど、まだ十分に主題になっていないのはパウロですね。実は、ぼくらはすでに、パウロが言ったこと、パウロの作った教義を前提にしながら、キリスト教について論じています。


考えてみると、キリスト教キリスト教にしたのはパウロであると言ってまず過言ではない。(略)


H パウロは、最初サウロという名前で、タルソという小アジアの町で恵まれたユダヤ人の家庭に生まれた。ヘレニズム世界に育ち、ギリシア語が堪能で、ローマの市民権を持っていた。

知識人で、聡明で、でもどちらかというと口下手で、熱心なユダヤ教徒で、パリサイ派に属し、青年行動隊長みたいな役割で、新興勢力のキリスト教徒を片っ端から捕まえては尋問し、弾圧していた。彼のキリスト教についての知識は、こうした尋問を通じて得たろうと思います。(略)

H パウロがなぜ手紙を書いたかというと、布教活動をしている最中に、拘禁状態になって、自由がなくなったんですけど、ローマの市民権を持っていたので、手紙が書けた。


で、手紙をたくさん書いた。それがいくつか残っているのです。パウロは、内気で、風采があがらず、あまり雄弁ではなかったらしい。ほかにもっと口のうまい伝道者が大勢いた。この点は少し、モーセと似ている。


O そうでしたね。モーセも口下手ですね。


H だけど、ものを書かせるとなかなかのものだった。口下手だから、文章力が上達したのかもしれない。


O そういうパターンはいままでもよくありますからね。
パウロがいなければ、結局、イエスがやったことが教義にならなくて、その時だけの出来事として終わったかも知れない。(略)


なぜパウロという間接的な弟子の方が、イエスに付き従って決定的な出来事をともに体験した直接の弟子よりも、圧倒的な冴えを持ったのか。(略)


H まず、十二人の弟子の能力があまりに低かった。
十二人の弟子の中で、まあまともだったのは、ユダだったと思う。ユダは金銭の管理もまかされているし、ほかの連流よりも学があった。と言うか、ほかの連中は学がなさすぎた。(略)


H ヘレニズム世界ギリシア語が共通語で、字が読めない人も、日常生活で使わないといけないから、教養のあるなしに関係なく、全員がわかるのはギリシア語しかなかったのだろうと思う。だから、教会でもギリシア語がつかわれていた。(略)


H 「ローマ人への手紙」、「コリント人への手紙」などは確実にパウロの書いたもの。そのほか、どれがパウロの書いたものか、学者の意見はほぼ一致している。(略)


H そもそも、教会というものが出来たことが、パウロの最大の貢献ですね。」