「O さて、もう何度か言及されているけれど、まだ十分に主題になっていないのはパウロですね。実は、ぼくらはすでに、パウロが言ったこと、パウロの作った教義を前提にしながら、キリスト教について論じています。
知識人で、聡明で、でもどちらかというと口下手で、熱心なユダヤ教徒で、パリサイ派に属し、青年行動隊長みたいな役割で、新興勢力のキリスト教徒を片っ端から捕まえては尋問し、弾圧していた。彼のキリスト教についての知識は、こうした尋問を通じて得たろうと思います。(略)
H パウロがなぜ手紙を書いたかというと、布教活動をしている最中に、拘禁状態になって、自由がなくなったんですけど、ローマの市民権を持っていたので、手紙が書けた。
O そうでしたね。モーセも口下手ですね。
H だけど、ものを書かせるとなかなかのものだった。口下手だから、文章力が上達したのかもしれない。
O そういうパターンはいままでもよくありますからね。
H まず、十二人の弟子の能力があまりに低かった。
十二人の弟子の中で、まあまともだったのは、ユダだったと思う。ユダは金銭の管理もまかされているし、ほかの連流よりも学があった。と言うか、ほかの連中は学がなさすぎた。(略)
H ヘレニズム世界はギリシア語が共通語で、字が読めない人も、日常生活で使わないといけないから、教養のあるなしに関係なく、全員がわかるのはギリシア語しかなかったのだろうと思う。だから、教会でもギリシア語がつかわれていた。(略)
H そもそも、教会というものが出来たことが、パウロの最大の貢献ですね。」