〇 「ふしぎなキリスト教」のメモを終わります。
最後に、橋爪大三郎氏の「あとがき」もとても良かったので、少し抜き書きします。
「あとがき
それは、こんな感じだ。
昔むかし、あるところに、七人家族が暮らしていました。「戦後日本」と、表札が出ていました。
でもある日、五人とも、養子だったことがわかります。「キリスト教」という、よその家から貰われてきたのです。
そうか、どうりで。ときどき、自分でもおかしいなと思うことがあったんだ。そこできょうだいは相談して、「キリスト教」家を訪問することにしました。本当の親に会って、自分たちがどうやって生まれたか、育てられたか、教えてもらおう。忘れてしまった自分たちのルーツがわかったら、もっとしっかりできるような気がする…。
大澤真幸さんは、私と同じ、社会学者だが、哲学にも造詣が深い。ヨーロッパ近現代思想の本質をとらえ、それを踏まえて現代社会を分析している。その大澤さんが、やっぱりキリスト教だよ、と言う。キリスト教を踏まえないと、ヨーロッパ近現代思想の本当のところはわからない。
まったくその通り!と私も思った。
「キリスト教入門」みたいな本なら、山ほど出ている。でもあんまり、役に立たない。
「信仰の立場」を後ろに隠して、どこか押し付けがましく、でもにこにこ語りかける。さもなければ、聖書学辺りの知識を、これならわかるかねと上から目線で教えをたれる。
人々が知りたい、一番肝心なところが書かれていない。根本的な疑問ほど、するりと避けられてしまっている。
そこで大澤さんと相談して、対談が実現した。ボケとツッコミの要領で、ふつうのクリスチャンなら怖くて言えない話題も取り上げた。「信仰の立場」を尊重しつつも、自由にそこから出たり入ったりする、「社会学的な」議論をくりひろげた。きっと面白い本になっていると思う。だって、対談した私たちが、とっても面白かったのだから。(略)
この本が、日本に生きる人々がキリスト教とよりよい関係をつくっていく一助になれば、これにまさる幸いはない。
2011年4月24日 復活祭の日に 」
〇 面白かったです。最初に書いた通り、もともとは大澤氏に興味をもち、この本を読んでみたいと思ったのですが、読んでいて、良かったのは、橋爪大三郎氏の「答え」でした。勉強になりました。
ただ、すぐに忘れてしまうのが、私の頭なので、ここにメモしてあるものをこれからも、時々読み返そうと思っています。