読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

私は女性にしか期待しない

「パート
女が家の外で働くことが、年々多くなっています。その働き方のサイクルがきまってきました。
学校を出たら会社に勤め、結婚して子供が出来たら、仕事を辞めて専業主婦になって育児にかかり、子どもが学校に行くようになって、またパートの仕事に出るというサイクルです。



パートでも、自分のかせいだ金ですから、妻の言い分が専業主婦の時代よりも、余計に通る事はあるでしょう。けれども、それは、デモクラシーになったと言えません。



「仕事に出てもいいけれど、家事は今まで通りにやってくれよ」
と大抵の夫は念を押します。
男は外で働き、女は家を守るというしきたりは、「今まで通り」に続く訳です。
これまで亭主関白でおさまっていた男も、「いままで通り」です。
女のパート労働ほど、いまの社会の仕組みをはっきりみせてくれるものはありません。
企業は男女差別というしきたりの「うま味」を十分に味わいます。男よりも安い賃金で働かせるので、経費の節減ができます。女が家をまもるしきたりがあるので、男を夜遅くまで働かせても、翌日は定時に出勤してきます。おんながパートの仕事になれ、何年もつとめても、賃金をそんなに上げないで済むように、仕組んでいます。



企業からの献金を選挙資金にして当選した議員たちのつくる政府ですから、企業に都合のわるい制度はつくりません。パートの収入がふえて、ある一定の額を超えると、妻は夫の扶養家族でなくなり、夫の税金が増えるような「税制」をつくっています。




無税の上限さえ押さえておけば、女の方で自主規制をしてわざわざ休んで、収入を減らします。
企業と男にとって、「家事は今まで通り」やってくれる妻ほどありがたいものは、ありません。企業はもうかり。男は亭主関白でいられます。
パートにでることで、負担が増えるのは主婦です。賃金は安いし、どんなに資格があっても、誰にでもできる仕事しかくれません。パートに出たい人が増えるので、競争になって賃金は安くなります。その上、家事はこれまで通りやらねばなりません。


くわえて、パートは、フルタイムと違って契約も不安定で、職業の訓練もなく、福利厚生の制度も利用できず、退職金ももらえず、賞与も少ないのが普通です。


労働条件をよくするための組合もありません。パートにいっている企業に労働組合があっても、男がやっていて、女のことは問題にしてくれません。企業が踏んだのを、男が蹴っているという様です。」


〇 私も女は弱い立場にあると思っていたので、以前見たテレビ番組に、驚きました。「クローズアップ現代+ 妻が夫にキレるわけ

48%の夫が妻を怖いと思っている…。

これまで、この松田道雄さんが指摘してきたことを、単純に並べて見ると、

「こんな男のために、仕事をすてて、無給の家政婦や保母に転業しようという気が起らない」(にもかかわらず、結婚してしまったが故に、心の底では、いやいや妻をやっている。)」(「シングル」より)


「ある保険会社が「サラリーマンの酷使度と過労死」の調査をしました。東京都内の一流企業につとめる20~50歳のサラリーマンの3/4が、「仕事が心身ともにハードだ」と感じているといいます。半数の人は「自分は過労死の可能性がある」と答えています。」(「もう少しゆとりを」より)


「男たちは、なぜ残業をしたがるのでしょうか。(略)早く家に帰っても、妻と共通の話題を持てないのではないか、商社に20年ちかく勤めていれば、教養において、主婦専業の妻に引き離されているだろう、と思いました。」(「残業」より)

〇 夫と共通の感覚を持てず、いやいや妻をやっている女と、心身共に疲れ果て、過労死の可能性があるほどに、ゆとりのない男が一つ屋根の下で暮らしている、
ということなのでしょうか。