読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

私は女性にしか期待しない

「保守政治
保守政治というのは、いまの社会のしきたりを続けて、急に変えない政治のことです。今の社会で企業がもうけ、男が幅をきかしているのを、守って行こうという政治のことです。


しきたりの力のつよい日本では、保守党がいばっています。しきたりによりかかって儲けている企業が、保守政治家に献金します。金をもらえる政治家は、それぞれ子分を持っている親分です。何人かの親分の力を、企業仲間は、企業に都合のいいように、献金でコントロールします。政府を作るのは、子分の一番多い親分ですから、政府を変えようと思えば、別の親分に献金を集めて首を挿げ替えればできます。


そのカラクリをみせたのがリクルートでした。
政治家になるには、国会議員にならなければなりません。議員になるのには、選挙で票を集めねばなりません。国民の中には、まだまだしきたりで得をしている人がたくさんいます。地方でムラのしきたりの残っているところでは、昔からのボスがいます。保守政治家はボスと仲よくして、ボスの縄張りの票を集めます。


企業からでた政治資金は、保守党の何人かの親分から、子分にわたります。子分はこの金を、選挙区でしきたりを守る人たちに、ばらまきます。直接に手渡しされる分はわかりませんが、間接に渡すところは、わかっています。



それが冠婚葬祭です。冠婚葬祭でうけとった金はつき返せないのが、しきたりです。
大ぜいの人の集まる所に、自分の名を広告できるのも、冠婚葬祭です。
町や村の有力者の家の結婚式の来賓のトップは国会議員です。葬式には議員の名を貼った大きな花や、しきみがならびます。村のお祭りのお祝いの酒樽についている大きな名札や、盆踊りの寄付者番付の筆頭に名を出しているのは議員です。


保守党は町や村に、鉄道をつけたり、橋をかけたりするプレゼントをします。町や村をよくするのは、保守党だけだと宣伝します。落成式には儀式があります。
冠婚葬祭や祝賀の儀式は、保守政治家の広告になるだけでありません。町やムラのえらい順番を、座席の並び方で知らせます。儀式で女は上席にすわれません。儀式に何度も出ていると、女は男より一段低いのが、神聖な秩序だという印象を強めます。



保守党もかしこくなって、選挙の人気取りに、女を大臣にしたりするようになりました。
けれども、男尊女卑のしきたりを保守党が改めることはないでしょう。
保守党に献金する企業は、女を差別することで儲けていますし、政治家は、男尊女卑のしきたりを大事にする人の票で当選しているからです。」