読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

私は女性にしか期待しない

「育児・育夫
25歳で27歳の男と結婚して、ひとりしか子を産まなかった女の人が、専業主婦の道を選んだとします。子供が社会に、独立した人間として、飛び立っていくのを25歳としましょう。



その時父親は52歳、母親は50歳です。男が80歳まで、女が85歳まで生きるとすれば、かれこれ30年をふたりっきりで暮らさねばなりません。
専業主婦は、子供と暮らす年月よりも、夫とだけで暮らす年月の方が長いのです。
昔のイエは大家族でしたから、夫婦だけが向かい合って暮らすということはありませんでした。


核家族になり、子どもをたくさん産まなくなった現在の、新しいライフスタイルです。
こういう世の移り変わりに、うまく合わせて夫婦が変心できないと、家庭が崩壊します。中年の夫婦の離婚が増えたり、親が息子の家庭に入りびたりになって、息子の家庭にひび割れを起こしたりするのは、そのためです。



育夫という変な言葉を持ちだしたのは、この二人きりの30年を、平和に楽しく生きるために、専業主婦が夫に向ってやらなければならないことがあるからです。
育夫は育児よりも、難しいものです。子供は成長して、たえず新しい環境に適応して変身しますから、ほうっておいても独立してくれます。


だが50歳の男は、容易に変身しません。
「女は男よりばかだ」
と思っていたら、妻が説得しようとしてもききません。
「食わしてやっている」
という気持ちがあると、亭主関白の座から動こうとしません。



妻が専業主婦になったのは、家庭という共産社会を作るための、合意の分業契約だということを忘れているのです。はじめは覚えていても、毎日つとめに行く会社というイエの中で、スポイルされてしまったのです。


家庭崩壊の危機は夫が定年になって、これまでの会社をやめた時です。
妻と夫との「保有情報量」が各段にちがって、話題が食い違うので話をしなくなります。
女はものを知らないと言うのは、妻を家庭の外に出さなかった昔のことです。今は会社が忙しくて情報収集のできない夫にかわって、定年後の生活のための情報を仕入れるのが妻の役です。


教養のためでなく、生活のための情報収集に変わってきたのです。育夫の第一は、夫への情報の配給です。



第二は、夫の健康管理です。高血圧も心筋梗塞も、タバコが重大な誘発原因です。夫に禁煙させることに成功した専業主婦は、説得技術がある点で、育夫の半分だけ及第う。
第一も第二も夫が50歳になってはじめるのでなく、もっと可塑性のある時にはじめないと、うまくいきません。」


〇 育夫は、とても難しいと思います。育児でさえ、うまくいかなかった私には、到底無理な仕事です。
なにより、夫は「妻に指導され、教えられている」という感じがほんの少しでもあると、断固として、反発します。他の人の話はきいても、妻の話はきかない、という姿勢は強固でした。

心の底には、おそらく「妻は夫に仕えるもの、教え、指導するのは夫の仕事」と思っているのだと思います。

次男が不登校になり、次男と「闘った」時のやり方を、夫にも使いました。
一般論としての、情報は伝えます。
私自身の願いや希望も伝えます。

その情報や願いを夫がどう受け取り、どうするかは、夫の自由です、
という態度で待ちます。

私が「説得して圧力をかける」のは、極力やめました。
圧力をかけられると、意地でもしない、というのが、夫の気質だと嫌になるほど分かっているからです。


でも、そんな私から見ると「間違った」生活スタイルを続ける夫と、どうすれば、仲良く、気持ちよく一緒に生きられるか、にチャレンジして、それなりに楽しくやっています。