読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ビッグイシュー日本版 2018・10・1(私の分岐点)

〇 ビッグイシューに「出会った」時には、なるべく買うつもりでいます。
でも、街の中には、ほとんど出ないので、せいぜい、年に2~3冊です。

先日、たまたま買ったので、その中の感動した記事をメモしておこうと思います。

「リレーインタビュー 私の分岐点 第309回
編集者 末井昭さん

私の人生最大のターニングポイントは、今の妻(神蔵美子)と結婚したことだと思っています。彼女と出会った頃の僕はギャンブル依存症で、3億7千万円もの借金がありました。


ギャンブルに嵌った最初のきっかけはバブル時代の不動産投機です。バブルが弾けて大損したのを取り返そうと先物取引に手を出し、さらに莫大な借金をつくり、その穴を埋めようと競馬をはじめとするギャンブルにのめり込むようになっていったんです。


当時は出版社の取締役をしていましたが、会社では生気がなく、半分死んでいるような状態だったと思います。
妻と出会ったばかりのある日、地下カジノに彼女を連れて行きました。他にいいデート先が思い浮かばなかったんですよね。しばらく見ていた妻は「こんなことやって何がおもしろいの?もっと他にやることあるでしょう?」



と凄まじい勢いで怒り出したんです。この出来事をきっかけに私は我に返り、ギャンブルから足を洗いました。
結婚するにあたって、妻と一つの約束をしました。それはお互いに嘘をつかないこと。それまでは人生に嘘はつきものだし、社会を生きていくための必要悪だと思っていました。でも約束通り、どんなに小さなことでも嘘をつかないようにしてみたら、ものすごく清々しくて気持ちがいい。これはやってみないとわからないことだと思いますよ。


嘘で身を塗り固めることで強いフリをしてきたけれど、実はそれってすごく弱いことなんだと知りました。



ある時、妻は、仕事の愚痴ばっかり言っている私に「会社辞めちゃいなよ」って言ったんです。自分に嘘をついてまで仕事を続けるのは絶対に良くない。それで会社を辞めました。当時は半分うつのような状態だったので、辞める選択をしたことは正解だったと思います。

(略)


会社を辞めたあとは、執筆活動などをしています。ご存知の方もおられるかもしれませんけど、私は小学一年生の時、母親が若い不倫相手とダイナマイトを使って自殺するという凄まじい経験をしています。そのことをあまり人に言えずに大人になりました。



同情されたり、その場の雰囲気が暗くなることが耐えられなかったんです。でもある時、芸術家のクマさん(篠原勝之)に話したら「すごいなぁ」と感心しながら、明るく受け止めてくれたんです。


それをきっかけに人に言えるようになり、どんどん話が広まっていき、自殺について書いたり、話したりする機会が増えていきました。(略)



親を自殺で失った人の多くは、深い心の傷を負っていても誰にも話すことができません。また絶望の淵にあって、今から死ぬつもりだと私のところに連絡して来る人もいます。そういう人とは極力話をするようにしています。



もちろん、僕と会ったところで決心は変わらないかも知れません。それでも自分に出来ることはやっていきたい。「えらいね、立派だね」という人が居るかも知れないけれど、それは違うんですね。誰かの為に何かを精一杯やることは、まわりまわって結局、自分を幸せにすることなんだとわかって来た。それが生きていく上で唯一の希望なんだと今は思っているんですよ。(飯島裕子)」


〇 「それが生きていく上で唯一の希望」という言葉に涙が出ました。