「米中は日本の危機にどう対応するか?
小林 その通りです。
小林 はい。そういう政治的な摩擦が生じて、結局、売却できなくなるかもしれません。しかし、そうなると、円安がますます進んでしまう。
橋爪 ここまでくると、世界中の機関投資家や政府は、気が気じゃなくなって、日本からの情報を求め、対応を協議するはずです。
彼らが最も危惧するのは、日本発の金融危機が、海外へ飛び火することですよね。
小林 ただ、欧米圏の金融機関は、日本の試算をさほど保有していませんから、危機が一気に拡がることはなさそうです。
例外はアジア圏です。(略)
中国のほか、東南アジア各国で貸出金が急激に増えている。それが縮小する可能性があります。
橋爪 その程度ですめばいいが。アメリカは、無事でしょうか。
ですから、日本で生じた問題が、すぐに欧米のマーケットに深刻な影響を及ぼすとは考えにくい。
小林 その通りです。もし日本国債の多くを外国人が保有していたら、ギリシャ危機のように各国へすぐに波及しますが、日本国債の九割以上を日本人が持っていますから、海外の金融機関に影響が及ぶことはまずないと思います。
橋爪 とすると、日本国債が暴落したとsちえも、世界経済から見て、それほど心配ないんですか。
小林 はい。ただ、日本経済が混乱することで、日本の企業がこれまで欧米に輸出していたものが途絶えてしまう可能性はあります。実際、東日本大震災の後、そういうことが起きました。しかしそれは金融システム全体を揺るがすような大問題とはなりえません。
(略)
小林 いえ、おそらく危機の初期段階で、「日本の国債をぜひ買って下さい。もっと買って下さい」と各国に呼び掛けるのではないでしょうか。
橋爪 言われた国は、迷惑じゃないですか。
小林 しかし、言わなければなりません。「増税も財政再建も、責任を持ってやります。日本国債は本来、安全です。長期的には決して値下がりしません。安全な資産ですから、どうか買って下さい」と、中東や中国に売り込みに行く。今もやったいますが、こうした営業活動を、ますますやらざるをえなくなる。
(略)
小林 買ってくれないと思います。
橋爪 だとすれば、『国債を買って下さい」じゃなくて、緊急融資を頼むべきでしょうか。
小林 協力してくれそうなのは、アメリカと中国しかありません。この二カ国が対応してくれるかどうかは、国際政治や安全保障の見地から検討しないと、何とも言えません。
小林 中国に対してアメリカは、そう出ざるを得ないでしょうね。
橋爪 中国が日本国債を手にすれば、日本政府に対して強力な発言力を持つことになる。
橋爪 はい。
(略)
小林 合意が出来なければどうなるか、全くわかりません。延々と米中間で話し合いが為されるのでしょうか。しかしそうなると、インフレ率や金利が不安定になる。」