読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ジャパン・クライシス

「未熟な政府と日本人


小林   ハイパーインフレが起きてしまったら、日本人は自分で自分のことを支えられない国民だということを自覚せざるをえません。しかもそれを世界中にさらすことになる。

橋爪   明らかな不合理を、誰も是正できなかった、ということですね。


小林   高齢化がものすごく早いスピードで進んでいるのは確かですし、不況が長引いたのも事実ですが、それで言えば、欧米諸国もそれぞれ似たような事情を抱えて来た。


にも拘わらず、日本ほど財政が悪化してはいません。日本だけが突出して、財政をうまくコントロールできていない。こうしたクライシスが起きてしまうとすれば、日本は真の意味で先進国ではなかったということです。



橋爪   アメリカには、ガバメントシャットダウンという制度があります。予算が足りなくなると、政府機関を閉鎖して、職員は自宅待機になり、給与も払われなくなるんです。


小林   そうなんです。こういう制度を導入して国民の危機意識を正しく高めていくのが、先進国の政治のあるべき姿だと思います。

先ほど、政府は国民の資産を強奪しているという話がありましたが、そこで引っかかったのが、まさにこの点でした。年金給付などでもらえるものはもらっておいて、借金を返済するのは政府の仕事、自分たちには関係がない。そんな人が結構います。


いや、国民の大半がそうだと言ってもいいでしょう。そういう意識自体が、先進国の国民としてふさわしくないと思うのです。そんな国民に選ばれた政府が統治しているのが、ここ日本です。(略)


橋爪   おっしゃる通りだと思います。ただ、国民も悪かったと言って、政府を免罪することはよろしくない。やっぱり最初に、「政府は泥棒だ!」とはっきり言うべきでしょう。


小林   国民の意識も政府の意識も、合理的な政治構造を持っているはずの先進国としては、あまりに未成熟です。「政府はドロボウだ」という事態になる何十年も前に、政府の財政運営を是正させるような行動を起こす責任が、有権者にはある。政府の不作為と同様に、有権者の不作為が続いている。そのため、こうした破綻が起きてしまう。


橋爪   第一の原因は、国会が正しく機能していない点にある。


小林   おっしゃる通りです。国会議員は、この本で行っているような議論をきちんと理解しておくべきですが、そうなっていません。


(略)


橋爪   ハイパーインフレを回避するためのキモはそこにある。コスト意識をはっきりさせ、予算内で何をやるかを決め、一度決めたら、五〇年かかっても、やり抜く。


小林   そういう政治風土、国民性が求められている。


橋爪   それが嫌なら、「生き地獄」に行くだけです。
第Ⅲ部では、そうならないための具体的で実行可能なシナリオについて、議論しましょう。



クライシス到来のポイント

1 ハイパーインフレの責任は、一義的には、国民に対して必要な説明をしてこなかった政府に。それによって、憲法が定める財産権が侵害され、多くの国民が塗炭恩苦しみを味わわねばならなくなる。ハイパーインフレで勝ち組になれるのはごく一握りで、大半の国民は生活の基盤が破壊されてしまう。


2 ハイパーインフレが起きる背景には、政府を監視すべき有権者が未成熟で「お神頼み」だったという統治構造の問題がある。危機を教訓にして、財政運営のコスト意識をはっきりさせ、一度決めたら、五〇年かかっても、やり抜くという政治風土を造り上げなければならない。」