「2 イスラム法共同体
法学者と政治的支配者
カリフの代理人をスルタンと言います。現実には、あちこちのイスラム王国は、スルタンが支配していました。スルタンのそのまた代理人をアミールと言いますが、アミールの支配する王国もある。ウンマは地上にひとつのはずですが、たくさんの世俗的な王様が出てきます。
イスラム法共同体がなぜまとまるか
滅茶苦茶なようですが、そうでもない。イスラムの原則は、政治的な支配者、権力者は、必ず法学者を顧問に迎えて、イスラム法学者と相談しながら統治を行う。これが専制君主制と違うところです。法学者の権限や地位がとても高い。
スンニー派のなかにも、四つの大きなグループ(法学派)があります。これらの違いは、細かい法律のバージョンの違いです。「クルアーン」が同じですが、スンナ(第二法源)が違う。イジュマー(第三法源)が違う。(略)
ということで、ムスリムはバラバラになりそうですが、_ここはキリスト教徒と違うところですが_メッカ巡礼というものがあり、シーア派もスンニー派も世界中のムスリムがメッカに集まります。イラン・イラク戦争のときにも、中断されなかった。(略)
大変お金がかかって無駄のように見えますが、でもイスラム世界がひとつにまとまっていくために、メッカ巡礼というのは、とても大事な仕組みです。(略)